★★☆☆☆
あらすじ
CIAの高度なセキュリティシステムが乗っ取られ、凄腕エージェントの男は同業の女性と共に解決を依頼される。
「攻略」シリーズ第3作目。
感想
シリーズものだと知らずに三作目から見てしまったが、前作からのつながりはほぼ無いらしく、特に問題ないようだ。だが続編だと知って、だからか!と思ってしまったほど、説明もなくどんどんと展開していく物語だった。
各シークエンスが丁寧な前振りがないままにいきなり始まってしまうので、何が起きているのかがよく分からない。今のは何だったのだ?と振り返って考えようとしても、その暇は与えられずにすぐに次のシークエンスが始まってしまう。その連続がひたすら続き、おかげで半分くらいは何やっているのか分からない状態で、混乱したまま見続けることになる。
監督としては、先に何かやって後で説明する構成にしているつもりのようだが、その説明が早足過ぎてよく分からない。その説明シーンに対する説明が欲しいと思ってしまうレベルだった。映画を通して、たとえ今は分からなくても後でちゃんと説明してくれるはずだという信頼関係が築かれることはない。まったく油断できず、無駄に疲弊してしまう。
それから、敵を追うメインの展開と共に、主人公と女性のラブコメ的なやり取りが描かれ、これが見どころの一つになっているはずなのだが、思ったよりも笑わしに来ないというか、意外と普通の恋愛描写をしているだけなのが意味不明だった。ロマンチックでもないし、どこかちぐはぐで、どうしたいのだ?と逆に聞きたくなってしまった。
ラストには大どんでん返しがある。しかしそもそものストーリーを曖昧にしか把握していないので、してやられた感も爽快感もなく、無表情で「なるほど、分かりました」と受け入れるのみだった。この映画はなんとなく、相手の反応を気にすることなく自分の喋りたいことだけを喋り、最後に一方的にガッハッハと笑いながら去っていくおじさんを連想させる。その場に残された観客は、今の何だったの?と互いに顔を見合わせることしかできない。
ただ、派手なアクションにサスペンス、恋愛ものに家族もの、さらには笑いも涙もある風の演出が施されているので、雰囲気だけで楽しめる人には満足できる映画なのかもしれない。よく分かんないけどなんか愉快なおじさんだったね、と。
スタッフ/キャスト
監督/撮影 ジングル・マ
出演
クリス・ウー/ティファニー・タン/ドゥ・ジュアン/ジージャー・ヤーニン/ジョージ・ラム
関連する作品
前作 シリーズ第2作目