★★★★☆
感想
これ関係のいろいろな本で取り上げられている本。なので先にそちらで知った内容もかなり含まれている。
巻末に著者の論文が掲載されているが、このイマイチ分かりづらい論文の内容を、ノーベル賞受賞者の著者自らがわかりやすく説明してくれるというのはありがたい。
個人的に興味深かったのは、自分の中に経験する自己と記憶する自己がいて、記憶する自己のほうが強いということ。その結果、長い苦痛を”経験”しても、状況によってはそんなに辛くなかったと”記憶”することがあり、同じ状況になった場合、不合理にも自ら長い苦痛を再度選ぶこともあるという。実験の結果であれば笑っていられるけど、実生活でそんなことをしているかもしれないと思うと、ゾッとする。
今みたいに人々が熱心に写真を撮ったり、SNSに投稿したりするのも、経験ではなく、記憶する自己のためにやっているのかもしれない。
それ以外の平均への回帰の話とか、アルゴリズムの話も面白かった。
不合理な行動をしてしまう人間に対して対策出来る事はあまりないという著者。だが組織であれば、対応できることもあるっていうのは救われているのか、そうでもないのか。なかなか立派な組織って見ないし。
著者
ダニエル・カーネマン
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
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登場する作品
マネー・ボール〔完全版〕 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)
ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理
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