★★★☆☆
あらすじ
イタリア・ローマで様々な人々が織りなす人間模様。
感想
ローマで起きる様々な物語が綴られていく。いくつものエピソードが同時進行的に展開されるが、それらは独立しており交わることはない。
そんなエピソードの中では、ローマで暮らそうと田舎からやって来た新婚夫婦の話が面白かった。妻は道に迷ってイタリアのセクシーな二枚目俳優と出会い、その帰りを待っていた夫は手違いで娼婦と知り合う。この二枚目俳優が全然イケメンではなく、髪の薄い小太りの普通のおじさんにしか見えないのだが、出会った妻が目をキラキラさせてときめいているのが面白い。
ある国で大スターとされている人でも、別の国の人が見ると、どこがいいの?と思ってしまうことはよくある。その人がスターたる所以は、それまでに演じた役柄だったり、歌ってきた歌だったり、歩んできた人生だったりと、過去の様々な歴史が蓄積した結果なので、その経緯をまったく知らない人がただ外見だけを見ても、すごさが分からないのは当然のことだ。
だがそう分かっていても、この人が?と不思議に思ってしまう感覚はなんだか面白い。これはそのことをネタにしていたのだと思うが、もしかしたら普通に彼は世界的に見たらセクシーなのかもしれない。段々自信がなくなってくるが、自分の常識は思っているほど世界の常識ではないことを教えてくれるのも映画のいい所だ。
描かれるそれぞれのエピソードはそれなりに面白いのだが、笑いが笑いを生むようなたたみかけるような面白さはなかった。風呂場の鼻歌は上手く聞こえるよねとか、いい女に見える薄っぺらいテクニックを持っている人いるよねとか、それだけでは一本の映画にならない弱い小ネタを寄せ集めた小品といった印象だ。二人の女性の間で揺れる青年の心の声となるアレック・ボールドウィン演じる男の描き方も不十分で、終始モヤモヤしてしまった。
この構成だとどうしてもそれぞれのエピソードが交じり合って大きな物語になっていくことを期待してしまうので、それがなかったのも物足りなかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/出演
出演 ロベルト・ベニーニ/アレック・ボールドウィン/ペネロペ・クルス/ジュディ・デイヴィス/ジェシー・アイゼンバーグ/グレタ・ガーウィグ/エリオット・ペイジ/アントニオ・アルバネーゼ/ファビオ・アルミリアート/アレッサンドラ・マストロナルディ/オルネラ・ムーティ/フラビオ・パレンティ/アリソン・ピル/リッカルド・スカマルチョ/アレッサンドロ・ティベリ