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「竜とそばかすの姫」 2021

竜とそばかすの姫

★★☆☆☆

 

あらすじ

 母を失ったトラウマで目立たずに生きてきた女子高生は、ネットの世界で人気歌手となる。

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感想

 ネットの世界で有名歌手となった田舎の目立たない女子高生が主人公だ。彼女がネットで暴れる「竜」と呼ばれる人物に興味を持ち、正体を探り始めたことによって物語は動き出す。

 

 だがその前に、地味で引っ込み思案の主人公が、ネットの有名人になってしまったことに対する描写がもっと欲しかった。一応は慌てて戸惑う反応はあったが、それを受け入れて積極的に歌手として頑張っていこうと決意したのか、怖気づいてビビっているのか、そのあたりの彼女の心境については触れていない。だから当然のように大規模なコンサートを開催する流れには違和感を覚えてしまった。

 

 

 主人公はそのコンサートを台無しにした「竜」の正体を探り始める。だがその理由がよく分からなかった。心に闇を抱えていそうだから、ということなのだろうが、たった一度見かけただけの人物に、そこまで深く関心を持つだろうか?と疑問しかない。せめて、もしかして知り合い?とか、助けを求められたとか、もっと積極的に調べたくなるようなきっかけが欲しかった。

 

 これも困っている人を助けずにはいられない母親の血を引いているから、ということなのだろうが、あまりにも動機が薄くて弱すぎる。その程度の関心で動くのであれば、とっくに他の人がやっているはずだ。おかげで竜の正体に迫るその後の展開は、主人公と違って全く興味が湧かず、ただ冷めた心で眺めるしかなかった。

 

 それから50億人が集うというこのネットサービスで、人々は何をやっているのだろう。主人公は歌手をしているから分かるとして、他の人は?となってしまう。おそらくは今ある人気のSNSサービスを総合したような感じで、趣味の交流だったり、あらゆるレベルのバトルだったり、憂さ晴らしなどが行なわれているのだろう。だが映像的には、その他大勢の人々はただ空間を漂っているだけなのでイメージしづらい。主人公がいきなり有名人になったおかげで、一般的な使い方をする描写がなかったことも大きいだろう。

 

 そして妙に露悪的な描写が多いのも気になった。確かにネットには人間の嫌な部分が渦巻いてはいるが、あまりにも今さら感のある紋切り型の描写で、色んな意味で疲れた。それがもはや当然の世の中を生きているわけだから、もうちょっとスマートにさらっと描いて欲しかった。

 

 最終的には竜の正体が判明し、その闇も明らかになる。だが社会の暗部を描くにしても、もうちょっと他のものが良かったような気がする。そこにたどり着くのかと凡庸さを感じてしまった。主人公も成長できて良かったみたいになっているが、別に竜のおかげではないよなと思ってしまい、どうにもしっくりこない物語だ。ただ、映像や音楽は悪くない。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原作 細田守

 

出演(声) 中村佳穂/成田凌/染谷将太/玉城ティナ/幾田りら/森川智之/津田健次郎/小山茉美/宮本充/牛山茂/多田野曜平/宮野真守/森山良子/清水ミチコ/坂本冬美/岩崎良美/中尾幸世/石黒賢/佐藤健

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音楽 岩崎太整/Ludvig Forssell/坂東祐大

 

竜とそばかすの姫 - Wikipedia

 

 

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