★★★★☆
あらすじ
エイリアンを体内に宿して死んだ主人公はクローンとして復活し、摘出されたエイリアンは軍事利用のために繁殖を試みられる。
原題は「Alien: Resurrection」。
感想
前作の終了時点から物語が始まるこれまでのシリーズのパターンを脱し、今作では前作から100年後の世界が舞台となる。前作で主人公はターミネーターのように溶鉱炉で死んでいるから当然ではある。今作の主人公は、これまでの主人公のクローンという設定だ。
今作もエイリアンに襲撃された主人公らが、応戦しながら脱出を図る展開となっている。ただシリーズ初期のような、どこから現れるのか分からない得体のしれないエイリアンに脅える描写はあまりない。もはや未知の生物ではなく、自ら繁殖までしようとしているくらいなのだから当たり前と言えば当たり前ではある。
そこに物足りなさを感じてしまう部分はあるが、ゾンビ映画と同じで、いつまでも同じことばかりしていては、それはそれでマンネリとなってしまうのだろう。新機軸を常に打ち出していく必要がある。
その意味で言えば、今回の特色はエイリアンをじっくりと観察できることだろうか。CG技術の発達によって、エイリアンの造形や動きが精巧に作り込まれて表現されている。粘液を滴らせながらぬらぬらと黒光りするエイリアンは、しずる感があって良い。また、水中を泳ぐシーンでの動きもリアルだった。
エイリアンの遺伝子を取り込んだクローンの主人公は、強靭な肉体と身体能力を手に入れた。これまでの勇気を奮って戦う強い女、というイメージをはるかに凌駕する別次元の存在となっている。エイリアンとも心を通わせることができて、もはやニュータイプのスーパーヒーローのようだ。だがこれはこれでありだ。その割には、彼女がエイリアンとの戦いで大活躍するシーンは意外と無いのだが。
エイリアンと戦うだけでなく、裏切り者が現れて人間同士で戦わなければならなかったり、実はロボットがいたりと、これまでのシリーズと共通の展開もある。脱出用の乗り物にエイリアンも乗り込んでいたというのも定番の流れだが、このクライマックスでのエイリアンの死に方がグロくて面白かった。体内が絞り出されるように少しずつ宇宙に放出されていく。
すごい斬新というわけではないが、それなりに楽しませてくれるパニック映画だ。終盤にかけて盛り上がっていく。
スタッフ/キャスト
監督 ジャン=ピエール・ジュネ
脚本 ジョス・ウィードン
製作 ゴードン・キャロル/デヴィッド・ガイラー/ウォルター・ヒル/ビル・バダラート
出演 シガニー・ウィーバー/ウィノナ・ライダー/ロン・パールマン/ドミニク・ピノン/マイケル・ウィンコット/ゲイリー・ドゥーダン/ダン・ヘダヤ/J・E・フリーマン/ブラッド・ドゥーリフ/レイモンド・クルス/リーランド・オーサー
撮影 ダリウス・コンジ
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