★★☆☆☆
あらすじ
世界征服を企む組織に人造人間に改造されてしまった男は、謎の女とともに組織から逃亡し、追手たちと戦うことになる。
感想
前半は主人公が、クモやコウモリ、蜂などと合体した怪人たちと戦う展開が続く。ワンパターンになってしまわないよう、それぞれの戦いに変化をつけて工夫してはいるが、途中で猛烈に飽きてしまった。そもそも自分が仮面ライダーに特別な思い入れがないこともあるのだが、主人公と怪人の間にたいした因縁がないのが問題なのだろう。
怪人たちは組織の命令に従っているだけだ。だから、その戦いに関心を持つのが難しかった。もっと怪人たちのキャラを立たせ、主人公との間にドラマを作ってから戦わせるのが正解なのだろうが、それを映画でやってしまうといくら時間があっても足りない。結局、毎回怪人を一人ずつ登場させて倒していく通常のテレビ版が、最適なフォーマットであることがよく分かる。最近のテレビ版がこのフォーマットなのかは知らないが。
序盤にかなり過激なバイオレンス描写があり、このテイストで突き進むのかと思ったがそんなことはなく、以降はおとなしくなってしまった。歴史と伝統のあるこのシリーズのスタイルを清く正しく踏襲しているらしいことは感じられたが、凄みを感じるような魅力的なアクションシーンは特になかった。ただ、主人公らが変身用のヘルメット(マスク)を律儀にいつも持ち歩いているのかと想像するとちょっと面白い。
それから、森山未來演じる最後の敵が主張することは、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」で碇ゲンドウが言っていたこととよく似ていた。肉体があるから暴力があり、痛みがあり、そして終わりがある。それらを失くすためには肉体を失くしてしまえばいい、という主張だ。一瞬肯いてしまいそうな、でも肯定したくないようなそんな気持ちになる。
この内容で上映時間2時間はちょっと辛かった。せめて100分ぐらいに収めてくれたら丁度良かったような気がする。
映画とはあまり関係ない話になってしまうが、日本には映画監督が3人ぐらいしかいないのか?とか、最近は「大人も楽しめる作品」ばかりで「大人が楽しめる作品」や「子供が背伸びして見る作品」は少ないなとか、なぜか色々と考えてしまった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 庵野秀明
出演 池松壮亮/浜辺美波/柄本佑/西野七瀬/塚本晋也/手塚とおる/松尾スズキ/森山未來/本郷奏多/長澤まさみ/仲村トオル/安田顕/市川実日子/松坂桃李/大森南朋/斎藤工/竹野内豊
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