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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「紳士同盟」 1986

紳士同盟

★★★☆☆

 

あらすじ

 次々と詐欺の被害に遭い、多大なる借金を背負ってしまった女子大生は、仲間と共に自分に好意を寄せる金持ちの男に詐欺を仕掛ける。

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感想

 お金に困った女子大生が結婚詐欺を仕掛ける物語だ。だが、やがて相手も自分たちを騙そうとしていたことが分かり、詐欺師グループ同士の戦いとなっていく。ただ最初から時任三郎演じる相手役の御曹司が胡散臭かったので、ここまでは最初からネタバレしても構わなかったのだろう。何よりも執事役のはずの財津一郎が醸し出す怖さが尋常ではなかった。圧力のあるアクの強すぎる執事だなと思っていたが、案の定、詐欺師集団のリーダーだった。

 

 主人公はお金に潔癖で、親に頼らず自分で学費も稼いでいる。そんな彼女が金に困ったとはいえ、詐欺をやるのか?と腑に落ちないところがあったが、最初は拒むも仲間に説得される流れで、時おり良心の呵責も感じている様子なので納得できなくもない。彼女は首謀者ではなく、頼まれて手伝っているだけの立ち位置で、アイドルの薬師丸ひろ子を決して悪者にしない巧みな設定だ。しかも罪悪感で思い悩む姿が可愛い。彼女の魅力も堪能出来て一石二鳥となっている。

 

 

 しかし借金に苦しむ女子大生と聞くと、今なら暗く重い話になりそうだが、この映画にはあまり悲壮感がない。コメディだからというのもあるが、バブルを前にした時代の雰囲気も大きいような気がする。苦しくても頑張ってれば何とかなるだろうという楽観的な気分がある。成長を続ける国の特徴かもしれない。詐欺に手を出す前の主人公が、バイトを掛け持ちで朝から晩まで働く姿が印象に残った。この時にかかる曲も良い。

 

 コミカル部分はあまり笑えることはなかったが、昭和らしい激しいカーアクションが見られる。また、工事中の瀬戸大橋が見られるのも貴重だ。しっかりと時代を映しながら物語は佳境に向かっていく。

 

 クライマックスは、詐欺師グループ同士が一堂に会し、直接対決する結婚式シーンだ。主人公らの計画通りにうまくことが運ばず、万事休すかと思ったところでどんでん返しが起きる。だがあまりにも偶然に頼り過ぎていて、痛快な気分にはなれなかった。相手の裏をかいたわけでも、それも計算のうちだったわけでもない。相手の心変わりがなければ、普通に大失敗だった。騙し合いの物語にしてはスッキリしない結末だ。

 

スタッフ/キャスト

監督 那須博之

 

脚本 丸山昇一

 

原作 紳士同盟(新潮文庫)

 

出演

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時任三郎/仲村トオル/伊武雅刀/夏樹陽子/尾藤イサオ/三宅裕司/石橋蓮司/財津一郎/内藤剛志/小倉久寛/山谷初男/三谷昇/風祭ゆき/須藤甚一郎/福岡翼/藤田恵子/MALTA/小林桂樹

 

音楽 梅林茂

 

紳士同盟

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  • 薬師丸ひろ子
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紳士同盟[公式] - YouTube

 

 

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