★★★★☆
あらすじ
富豪の女性による友人、親族を引き連れてのナイル川下りの新婚旅行に招待された名探偵エルキュール・ポワロは、クルーズ船内で起きた殺人事件の捜査に乗り出す。
シリーズ第2作目。原題は「Death on the Nile」。
感想
冒頭は主人公ポワロの戦争時のエピソードが描かれる。思っていたのとは違う、本筋ではないところからのスタートで、若干気勢を削がれてしまった。だが本題の殺人事件はここで描かれた「愛」がテーマになっているので、必要なパートだったと言える。
そして舞台がエジプトに移り、本筋が始まる。ピラミッドや砂漠、ナイル川から望む大自然など、まずはエキゾチックで美しい映像に気分が盛り上がる。ただあまりにも美し過ぎて、これはどうせCGを使っているのだろうなと冷めてしまう気持ちがないではなかった。今やCGが当たり前の時代だが、実写にしか出せない凄みはまだまだある。
CG嫌いクリストファー・ノーラン伝説まとめ!『ダークナイト』から『TENET テネット』まで|シネマトゥデイ
やがて皆で乗り込んだクルーズ船内で殺人事件が発生し、主人公は捜査に乗り出す。今回の主人公はとてもシリアスだ。前作ではもっと飄々としていたような気がするが、今回は乗客たちを問い詰めるように尋問していく。この尋問の中で、乗客たちそれぞれの愛の姿も浮かび上がってくる。
事件の展開は早く、一度殺人事件が起きた後は次々と殺人が起こり、あまり推理を楽しむ時間はなかった。全員を集めて事件の真相を明らかにするクライマックスシーンも早足な印象だ。
もうちょっと笑いを交えて和ませつつ、ゆったりとしたテンポで描いて欲しかった感はある。だが元々の原作のプロットの面白さで、普通に楽しめるエンタメ作品に仕上がっている。せっかくのエジプトなんだからもっと観光気分も味わいたかったが、それよりもポワロの内面に迫りたかったのだろう。食えない男に対する見方に新たな視点が加えられる。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 ケネス・ブラナー
原作 ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)
製作 サイモン・キンバーグ/マーク・ゴードン/ジュディ・ホフランド
出演 トム・ベイトマン/アネット・ベニング/ラッセル・ブランド/アリ・ファザル/ドーン・フレンチ/ガル・ガドット/アーミー・ハマー/ローズ・レスリー/エマ・マッキー/ソフィー・オコネドー/ジェニファー・ソーンダース/レティーシャ・ライト/アダム・ガルシア
音楽 パトリック・ドイル
撮影 ハリス・ザンバーラウコス
ナイル殺人事件 (2022年の映画) - Wikipedia
関連する作品
前作 シリーズ第1作
次作 シリーズ第3作
同じ原作の作品