★★★☆☆
あらすじ
悪友とつるんで芸術学校に忍び込むも捕まってしまった不良の青年は、裁判所にその学校での奉仕活動を命じられる。
感想
ダンス好きの不良少年が、芸術学校に通う生徒たちとの交流を通して夢を見つける物語だ。裁判所命令で清掃員としてやってきた主人公が、グイグイとそこの生徒に声をかけていくのはすごい。生徒と清掃員の関係なんて壁がありそうなものなのに、アメリカではこれが普通なのか、それとも主人公が不良ならではのハートの強さからなのか。
しかも主人公は掃除をしながら、厳しい練習に明け暮れる生徒たちを俺の方が上手いと半笑いで眺め、挙句の果てには練習相手に困っていたヒロインの相手役に名乗り出る。普通なら自惚れの強いバカがいた、で終わるところだが、見事に合格してしまうのだからびっくりだ。彼に才能があったということなのだろうが、主人公がなぜそんなに上手いのかは説明されない。
ヒロインの練習相手を務めるようになった主人公は、改めてダンスの楽しさに気付き、また彼らとは人生への取り組み方に違いがあることを知る。さらにはヒロインとの恋、新しい仲間たちとの友情や古い仲間たちとの軋轢、そして友の死と、青春映画にありがちな展開が繰り広げられる。
ベタでツッコミどころはたくさんあるのだが、ダンスに恋に友情と、ティーンムービーとしてはそれなりの安定感がある。続編がいくつもつくられるのも納得のフォーマットだ。
だが娘に対するヒロインの母親の豹変ぶりや教師の甘い対応、ヒロインの物分かりの良さと、終盤に怒涛のように訪れる予定調和の連続には呆れてしまった。
それから、印象に残るシーンにしたかったであろう波止場でヒロインと踊る場面は、もうちょっと丁寧に撮影すればいいのにと思ってしまった。構図はちゃんと考えられているのだが、ノイズの多い映像の雑さが気になった。
たいして練習もしていない主人公にすべてを持っていかれてしまうので、日々努力をしている生徒たちが気の毒になってしまうところはあるが、気軽に楽しむには悪くない青春映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 アン・フレッチャー
製作 エリック・フェイグ/アダム・シャンクマン/ジェニファー・ギブゴット/パトリック・ワックスバーガー
出演 チャニング・テイタム/ジェナ・ディーワン/マリオ/レイチェル・グリフィス/アリソン・ストーナー/ヘヴィ・D
音楽 アーロン・ジグマン
撮影 マイケル・セレシン
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