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「西銀座駅前」 1958

西銀座駅前

★★★☆☆

 

あらすじ

 妻の尻に敷かれ白昼夢ばかり見ている頼りない男は、妻の留守中に浮気をするよう悪友に唆される。

youtu.be

 

 フランク永井のヒット曲「西銀座駅前」を題材にした映画。52分。

 

感想

 現実世界では不甲斐なく、白昼夢ばかり見ている男が主人公だ。その白昼夢というのが、戦争中の南の島での思い出なのだから時代を感じる。だがこの時代は、30代半ば以上の男はほとんど戦争に行っているわけだから当然か。しかしよく考えると、男たちが皆、女たちの全く知らない戦地での思い出を持っている、というのは不思議な世界だ。すごい男女の断絶があることになる。

 

 白昼夢は欲求不満の表れだとして主人公は悪友に、妻の不在中に浮気をするよう唆される。とはいえ初日は、盛り場で飲み歩くだけの可愛いものだった。しかし二日目は、ある女性とデートすることになる。どうしていいか分からない主人公に、悪友の獣医に代わってその書生がしたアドバイスは、まるで動物の取り扱いを指南しているかのようで可笑しかった。

 

 

 このデートの食事の席で、相手の女性が足の先まで付いた謎の鶏の半身にかぶりついたシーンにはドン引きしてしまった。今でもこんな風に料理を出すレストランはあるのだろうか。昭和はワイルドだ。そしてショッピングの後に、モーターボートで海に向かうデートコースもまたワイルドだった。

 

 その後はタイトルから遠く離れて南の島での漂流生活風になるが、うまくオチが付いてエンディングを迎える。結局、主人公が束の間の冒険を楽しんだ、という誰も傷つかない無害な物語に落ち着いた。はっきりしない主人公のボンヤリ具合には多少イライラするが、上映時間も短いし、時間つぶし的に見るには悪くない映画だ。ちょっとした白昼夢を味わえる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原案 今村昌平

 

出演 フランク永井/柳沢真一/山岡久乃/西村晃/初井言栄/小沢昭一/堀恭子

 

音楽 黛敏郎

 

西銀座駅前

西銀座駅前

  • フランク永井
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