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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ザ・サークル」 2017

ザ・サークル

★★☆☆☆

 

あらすじ

 巨大IT企業に入社した主人公はCEOに促され、生活のすべてを公開する新サービスを利用する最初の一人になる。

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感想

 ITの技術は便利だが恐ろしくもあるという、もはや陳腐とさえいえるテーマに真正面から取り組んだ映画だ。

 

 序盤はITの良い側面が語られる。困っていることがあれば詳しい人間に相談できるし、IT機器によって健康管理もできる。あらゆるところに設置されたネット接続のカメラによって、危険な目にあっても誰かが見守ってくれていて、助けてくれる。

 

 

 ただ、そんな良い面を紹介している最中でもすでにこちらはかなり引いている。何より、その素晴らしさを紹介する人たちのキラキラ具合に困惑してしまう。入社したばかりの主人公に、社員向けのITサービスを紹介する二人組の気味悪さといったらなかった。欧米で良しとされるポジティブさとの相性が良いのだろう。

 

 悪い人などこの世にはいない、善人ばかりという前提で突き進むIT企業の無邪気さには際どさを感じる。考えてみれば、彼らは科学至上主義のマッドサイエンティストと同じかもしれない。ITは全能だと思ってしまっている。実際、この映画の中で、何でも情報を公開してシェアしていこうとするトム・ハンクス演じるCEOだって、悪役のはずだが悪役には見えない。

 

 IT技術の恐ろしさを思い知った主人公は、社の方針に修正が必要だと感じ、動き出す。相手を倒すのではなく、改善を迫る動きなので、IT自体は否定していないことがわかり、それには同意できる。

 

 ただIT企業相手にどんな戦いを挑むのか思えば、それ?みたいな拍子抜けする内容だった。観ているときに一番最初に思った疑問だったし、絶対に多くの人がネットで指摘するはずの事だった。それをドヤ顔でエンディングでやるなんて、世界を見くびりすぎだろう。SNSでキラキラしたことばっかり言ってる人が、スゴい事思いついた!みたいな感じでありきたりの事を言ってるのを見たような、残念な気持ちがしてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 ジェームズ・ポンソルト

 

原作 ザ・サークル (上) (ハヤカワ文庫 NV エ 6-1)

 

製作/出演 トム・ハンクス

 

出演 エマ・ワトソン/ジョン・ボイエガ/カレン・ギラン/エラー・コルトレーン/パットン・オズワルト/グレン・ヘドリー/ビル・パクストン/ジュディ・レイエス/ママドゥ・アティエ/ベック

 

音楽 ダニー・エルフマン

 

ザ・サークル

ザ・サークル

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ザ・サークル (映画) - Wikipedia

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