★★★★☆
あらすじ
娘の手術のために大金が必要な男は、勤めていたカジノを襲う計画を立てる。
原題は「Heist / Bus 657」。92分。
感想
難病の娘の高額な手術費用がなくて、主人公が困っていることを印象付けて物語は始まる。つまり、悪い人ではないが、仕方がなく強盗するのだと言っている。しかも、盗むお金はマネーロンダリングに使われる汚いお金で、善良な市民を困らせることはない。
そして強盗計画が実行される。しかし大金は手に入れるも逃走に失敗し、バスジャックをすることになってしまう。しかも警察に速攻でバレる最悪の展開だ。このあたりは逆に手回しが良すぎるような気がしてしまった。取ってつけたような運の悪さだ。
そんな中で主人公は抜群の順応力を見せる。さっそく追跡するパトカーと連絡を取って交渉をしたり、車内の仲間のいざこざを抑えたりする。この辺りのスリリングな展開はハラハラさせられて面白い。
さらに観客を騙すようなトリックも何度も仕掛けられていて、その点でも楽しめる。重要な役に見えた妊婦の乗客をすぐに解放してあれ?と思ったが、ちゃんとのちのちの伏線になっていたりと、構成もしっかりとしていて上手い。停滞感を感じさせることなく物語は進む。
そしてその裏ではロバート・デ・ニーロ演じるカジノのボスの指示で、盗まれた大金を回収しようとする組織の動きもあり、次第に主人公たちに迫っていく。しかし、デ・ニーロがこういう役をすると映画は締まる。最後は何故か主役ではなく、デ・ニーロのシーンで終わるのだが、何とも絵になる映画的シーンだった。
ただ全編を通して気になるのは、主人公は悪い人じゃない、という前提で貫かれている事だ。彼の言葉を信用して上司の命令を無視する警察官や、彼に助言し庇う乗客たちも現れる。確かにいい人なのだろうけど、バスジャックをしているのだから、そこまでではないでしょうと思ってしまう。ちょっと性善説すぎるきらいがある。主人公もまたカジノのボスを本当はいいヤツだと信じているし。これにはかなりモヤっとさせられた。
その他にも、主人公の機転が利き過ぎる根拠が謎だったり、主人公の当初の計画とのズレがどの程度だったのか曖昧だったりと、細かいところを言い出せば色々と気になる点は出てくるのだが、気軽に楽しむアクション映画としては十分に満足させてくれる内容だった。
スタッフ/キャスト
監督 スコット・マン
出演 ジェフリー・ディーン・モーガン/ケイト・ボスワース/デイヴ・バウティスタ/モリス・チェストナット/D・B・スウィーニー
編集 ロバート・ダルヴァ
タイム・トゥ・ラン 【字幕版】 | 映画 | 無料動画GYAO!