★★★☆☆
あらすじ
お嬢様学校で皆のあこがれの的だった生徒が謎の死を遂げ、同じ文学サークルに所属していたメンバーたちがそれぞれ、彼女の死についての推理を発表していく。
感想
文学サークルのイベントの一環として、このサークルの会長でもあった女子高生の死の謎についての推理を、メンバー一人ずつが小説形式で発表していく。なかなか趣味の悪い催しだが、そこはお嬢様学校なのであくまでも上品に。
一人の女子高生の死について、身近だった仲間がそれぞれ語るも見解が異なる「羅生門」スタイルだ。皆の言っている内容が違い過ぎるし、明らかにその場にいる別の誰かを特定して悪人だと言っているので気まずいが、それでも本当の真実は?と興味がそそられて面白い。
それぞれの話を聞くたびにどんどん期待が高まっていき、最後はサークルを引き継いだ死んだ女子高生の親友の発表が行われる。どんな結末が待ち受けているのかとワクワクしたが、そんな気持ちを裏切るような白けてしまうような内容だった。急につまらなくなった。
それまでは少しおかしな部分はあったがお嬢様学校ならあり得そうな話が続いていたのに、急にリアリティのない話が出てきた。それまでの話の中に出てくる死んだ女子高生の振る舞いがちょっと女王様すぎるのでは、と思っていたが、大金持ちの学校経営者の娘でもあるので、ナチュラルにそうなってしまうだけで悪意はないのだろう、と無理やり納得していたのに、そのままだったとは。
この映画は「イヤミス」と謳っているので、どんな嫌な気分にさせてくれるのかと思っていたら、お嬢様的な上品な雰囲気が、低俗で下品になっただけだった。しかも、誰もが持つ人間の嫌な部分が表出してしまったのではなく、積極的にさらけ出してるただの異常者でしかない。
さらに言えば、そんな異常性を平気で見せているくせに、めちゃくちゃ普通の夢も語っていて、劇中の人物と同じように、見ているこっちもかなりがっかりさせられる。それならそこは異常な人間を貫いてくれないと、アンバランス過ぎる。
若い女優がたくさん出ていることもあり、トータルでみると悪くはないのかもしれないが、尻すぼみ感が半端ない。面白くしようとして取った策がすべて逆効果になってしまったような映画だ。この映画は、清水富美加が主演で一番美味しい役のはずなのに、全くそんな感じがないのも可哀想だった。
逆に、お嬢様たちの物語の後のエンドロールで流れる正反対の雰囲気のCharisma.comの曲「#hashdark」は良かった。女の世界は外側から見るだけでは簡単に判断できないという事だろうか。
スタッフ/キャスト
監督 耶雲哉治
脚本 岡田麿里
原作 暗黒女子 (双葉文庫)
出演 清水富美加/飯豊まりえ/清野菜名/玉城ティナ/小島梨里杏/平祐奈/升毅/千葉雄大