★★★☆☆
あらすじ
先に訪れ消息を絶っているリーダーの考古学者を捜索するために、タイムマシンで中世ヨーロッパに送り込まれた発掘調査チーム。
感想
考古学者のチームが、今まさに発掘調査をしている場所の、当時の時代にタイムスリップする物語。先にリーダーの考古学者が消息不明となっていることもあって、タイムマシンの手短な説明と、前のめり気味でノリノリの発掘調査員たちのおかげで、勢いで強引にタイムスリップの原理を納得させられてしまう。
ただこれは、詳しく説明したところでややこしくなるだけなので、このやり方は悪くない。勢いは大事。しかし自分たちが戻って来られる保証もないし、そもそも命さえ失いかねないの状況なのに、発掘調査チームの決断の速さにはビビらされる。普段想像しかできなかったものを実際に目にすることができるのだから、気持ちは分からないでもないが、いくらなんでも軽すぎる。
そして百年戦争中のフランスにタイムスリップした発掘調査チーム。タイムスリップした途端にばったばったと死んでいく。人数が多すぎると描きにくいのは分かるが、それなら最初から少数精鋭で行けば良かったのでは?何もぞろぞ大勢で行かなくてもと思ってしまった。
もしかしたら中世ヨーロッパでは人の命なんて簡単に奪われてしまう、という事を描きたかったのかもしれないが、それならせめて死んでいく者たちに見せ場を作ってあげて欲しかった。ただ簡単に死ぬだけ。メインの人物たちはさっそく中世マインドを身につけたのか、仲間が死んでも滅茶苦茶ドライで可哀そうだった。
映画は見事に伏線を回収していく展開。しかし散りばめられた伏線ではなく、伏線しかなかったので、感心するというよりもバレバレ。逆に、あれの伏線の回収は?まだやってないよね、と先回りして催促するみたいな感じになってしまっていた。ジェラルド・バトラー演じる男まで、あれ俺だったのか!と、戦ってる途中で伏線に気づいて喜んでしまってかなりの興醒め。
話は変わるが、この手のタイムスリップものではよくある話の、下手に現代のものを過去に持っていくと歴史がおかしくなるのでまずい、という倫理観は何なのかとふと思った。科学の力で人間が人間を作ってしまうのはマズい、というのと同じ類の直感的なものなのだろうか。
よく考えると、現在が変わってしまった所で変わったことを皆は知らないわけだから、そんなに問題がない様な気がするのだが。その後の改変や調整を行わなければいけない神様が忙しくなってしまうと心のどこかで思ってしまっているのだろうか。なんだかんだ言っても結局人は、神様的なものを信じているのかもしれない。もしくは想像せずにはいられないというか。
話が分かり安すぎて、少し安直な気がする映画ではあったが、気楽に見るには悪くない。
スタッフ/キャスト
監督/製作 リチャード・ドナー
脚本 ジェフ・マグワイア/ジョージ・ノルフィ
出演 ポール・ウォーカー/フランセス・オコナー/ジェラルド・バトラー/ビリー・コノリー/デヴィッド・シューリス/アンナ・フリエル/ニール・マクドノー/マット・クレイヴン/イーサン・エンブリー/マイケル・シーン/ランベール・ウィルソン/マートン・チョーカシュ