★★★☆☆
あらすじ
婚約者を殺した犯人を捜す猟師の男は、無法者が集まる山の中の町にたどり着く。
タイトルの読みは「散弾銃(ショットガン)の男」。
感想
山の中の無法者が集まる製材会社がある町が舞台だ。荒くれ者たちに銃を持ったヤクザ、それに治安を守る保安官もいて、彼らの集う酒場もある。製材会社の社長が牛耳るそんな町に散弾銃を持った主人公がやって来るプロットは、西部劇の設定をうまく取り入れている。
主人公はこの町に婚約者を殺した犯人がいるとにらみ、新しい保安官に立候補するなどして真相を探ろうとする。そして新参者の彼に反発を覚える男たちとの戦いが始まるのだが、正直なところ、主演の二谷英明があまりカッコいいとは思えず、そんなに気分が盛り上がらなかった。彼はどこかもっさりとしている。
やがて主人公は、町を牛耳る男の陰謀に巻き込まれていく。彼と戦いを繰り広げていた者たちも同様だが、彼らが簡単にやられてしまうことなく、しぶとく男に対抗するのが良かった。誰も雑魚キャラでなく、皆タフな男たちだ。唯一、弱いくせに何度も出しゃばり、しかもやっぱり役に立たない元保安官だけは面倒くさかった。だが、彼も他人任せにせず自分の手で妻の仇を取ろうとしているわけで、その執念と心意気は立派だと褒めるべきかもしれない。
男たちが必死な戦いを繰り広げている中で、ひとりだけ劇画風でシリアスな演技をしていたヒロイン役の芦川いづみが浮いていて面白かった。だが彼女の出ているシーンはどれも力の入った印象的な映像になっていたので、もしかしたら本当はこっちをメインで撮りたかったのかもしれない。
最初はなんてことのない西部劇風アクションだったが、クライマックスになると見ごたえのある映像が増え、グッと引き締まったものになった。脇役たちが魅力的な映画だ。
スタッフ/キャスト
監督 鈴木清順
脚本 松浦健郎/石井喜一
出演 二谷英明/芦川いづみ/小高雄二/南田洋子/高原駿雄/郷鍈治/江幡高志/浜村純/野呂圭介