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BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「あのとき始まったことのすべて」 2010

小説 ★4

あのとき始まったことのすべて (角川文庫)

★★★★☆

 

 ふとしたことがきっかけでかつて中学の時に机を並べて共に過ごした女性と再会することになった男。

 

 会話が面白い。読んでいてニコニコしてしまう。主人公はそんな風に面白い事ばかり言っていて堅苦しい事を言わないのだが、だけどそこに信念のような強さを感じる。。不平不満は口にせず、悪口を言いたくなる時も困ったな、と顔をしかめるだけだ。笑わせることで相手を幸せにし、それで自分も幸せになる、やがてそれが世界に平和をもたらす、みたいな強い信念が感じられて、好感が持てる。

 

 人は大人になると子供のように無邪気に行動できなくなってしまうんだな、と感じてしまう小説でもある。子供の時の今日会えなくても明日は会えるという小さな世界から、いつの間にかそう簡単にまた会えないような大きな世界に足を踏み込んでしまっている。小さな世界から次第に大きな世界へと歩を進めていることに気付かず、その後再会することがないかもしれないのに、軽いあいさつで別れてしまう事もある。なんだか切ない。そうやって別れてきた人たちはたくさんいるんだろうな。今思うとあれが最後だったな、とかその割にあっさりとした別れだったな、とか。

 

 当時は何とも思わず過ごしてきたけど、今思うとあの頃に始まっていたことなのかな、となんとなく思うことはだれにでもあるはずだ。妙にその頃の事を考えてしまうそんな小説。

 

著者

bookcites.hatenadiary.com

 

あのとき始まったことのすべて (角川文庫)

あのとき始まったことのすべて (角川文庫)

 

 

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