BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「きりこについて」 2009

きりこについて (角川文庫)

★★★☆☆

 

著者

bookcites.hatenadiary.com

 

 両親に可愛がられ自分がブスだということに気付かなかった女の子。

 

 こうはっきりとブスって言葉が出てくると戸惑ってしまう。インパクトがある。

 

 彼女まではいかないまでもみんな広い世界に出て自分を知るようになる。それに気付かずに大人になる人は幸せな人だ。それは強大な権力者の子供とか、とてつもなく鈍感な人とか、広い世界に出ていかない人たちで、そんな人たちは自分の思う自分でいられる。こちらの方が圧倒的に生きるのが楽だ。思っていた自分で世の中を生きられないことに悩まないで済む。

 

 これは逆に言えば本来の自分で生きることは難しいということでもある。世間の目にさらされながらもそれでも自分でいることの。それが出来る人はそれに気付かずに大人になってしまった幸せな人よりも力強く生きることが出来るんだろうなと思う。

 

 容れ物は醜いけども中身は美しい、まるで子供の読む童話風のシンデレラストーリーでちょっと都合のいい展開ではあるけれど、ブスの女の子が幸せに生きれたのなら良かったのかな、と。