★★★★☆
あらすじ
認知症の症状を見せる母親をグループホームへ入れた息子は、時間を見つけてはグループホームを訪れるようになる。
感想
グループホームに母親を預けに行くシーンが切ない。日中誰もいない家に1人残しておくよりも、施設で面倒を見てもらったほうが絶対にいいとは頭では理解できるが、母親だけ置いて帰るのはまるで見捨てたような罪悪感を感じてしまう。バックミラー越しに母親の姿が遠ざかるのを見て、思わず涙がこみ上げる息子。
やがて母親の認知症が進み、息子の顔さえも忘れてしまう。やっぱりショックだ。きっと自分だけは忘れないだろうと根拠のない自信があったはず。ただ認知症の母親にしてみれば、彼女が認識している世界が現実だ。彼女の中で様々な古い記憶が呼び戻され、再現されていく。
息子は傍から見れば風采の上がらない冴えないおじさんだが、ライブやったりマンガ描いたり、人生を楽しんでいる感じがしていい。そういう人だからこそ、老いた母親とこういう関係を保ちつづけることができるのだろう。こういった日々は、決して楽ではないが、親子が互いの想いを再確認する時間なのかもしれない。
あと、出演している原田貴和子と原田知世が区別がつかなかった。どっちがどっちなんだか。まるで自分がボケてしまったような気がしてしまったが、これは意図的なんだろうかと勘ぐりたくなる。
スタッフ/キャスト
監督 森崎東
原作 ペコロスの母に会いに行く
出演 岩松了/赤木春恵/原田貴和子/竹中直人/原田知世/宇崎竜童/温水洋一/穂積隆信/根岸季衣/正司照枝/白川和子/志茂田景樹/佐々木すみ江