★★★★☆
あらすじ
義理の父の葬式の一部始終。
キネマ旬報ベスト・ワン作品。124分。
感想
葬式というのは不思議な空間で、故人と関わりがあるというだけの共通点で人々が集まる。当然故人への思い入れは様々で、悲愴な面持ちで静かにしている人から、延々と関係のない話をしている人もいたりして、わりと温度差がある。そういった人たちが時間になると揃って読経を聞いてうつむいたり、寿司を食べたり、骨を拾ったりして粛々と式を進行していく。よく考えると結構おかしな光景だ。
この映画の中で行われる葬式も特別な出来事があるわけではなく、どこにでもあるような葬式の風景だ。だが、人々が葬式のためにそれぞれの思惑で動くと可笑しみが出てくる。写真撮影の構図に拘る納棺の時の大滝秀治演じる伯父は面白すぎた。そしてみんなが神妙にそれに従うのも。
そうやって式が進行し、終わるとなぜか人々の心に一つの区切りがついている。なんだかんだと人々の人生において葬式というのは重要な儀式なのだとしみじみと思った。
面白い構図のカメラ―ワークをしたり、意味があるのかないのかよく分からない面白いシーンがあったりして、伊丹十三の初監督にかける意欲や挑戦を感じる作品でもある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 伊丹十三
出演 山崎努/宮本信子/菅井きん/大滝秀治/奥村公延/藤原釜足/尾藤イサオ/岸部一徳/財津一郎/江戸家猫八/小林薫/海老名美どり/金田明夫/利重剛/黒沢清/井上陽水
この作品が登場する作品
*「The Funeral」