★★★☆☆
あらすじ
不倫相手の赤ちゃんを誘拐して逃走した女と、苦悩する被害者家族。147分。
感想
赤ん坊の時から物心がつき始める頃までの間、母親だと思っていつも一緒にいた女が実は誘拐犯だったと知ったら、それはショックだろう。そこから実の母親と一緒に暮らし始めても、まるで他人同然だし、ぎくしゃくするするのも仕方がない。これは一生続いてしまうことで、そう考えるとかなり罪深い。
この映画では、永作博美演じる犯罪者を中心として描いてるので、どうしても彼女に感情移入してしまう。偽りだけど真の親子のように慎ましく暮らしている二人を、被害者家族をはじめとした世間が邪魔しようとしているように見える。
この映画にはほとんど女性しか出て来ない。関係ないが余貴美子のあの存在感はすごかった。母として女として、と言ったところだが、いまいちピンと来ない。女性はこれに共感するのだろう。だが、ここに出てくる女性たちはダメな男たちとしか付き合ってないわけだが。
しかし、永作博美演じる女性が、裁判で被害者家族へ伝えたいことが「ありがとう」ではダメな気がする。これは、いつか終わりが来ることが分かっていて、その間のいい思い出をありがとうという事なので。そこはもう一生育てるつもりで誘拐した、子供も自分の事を母親と思っているし自分が育てる方が正しい、と主張しないと。そうでないと自分の良い思い出を作るために、いろんな人の人生を台無しにしたという事になってしまう。
スタッフ/キャスト
監督 成島出
原作 八日目の蝉 (中公文庫)
出演 井上真央/永作博美/小池栄子/森口瑤子/余貴美子/田中哲司/市川実和子/平田満/風吹ジュン/劇団ひとり/田中泯/安藤玉恵/吉田羊/徳井優
音楽 安川午朗