★★★★☆
内容
インテリジェンスの世界を知り尽くした二人の対談。
感想
二人ともテレビや雑誌で見たことがあるが、二人とも本当の姿を見せない、どこか腹に一物を抱えていそうな得体の知れなさがある。その二人の対談。二人の会話も表に出てくる言葉のその背後で、二人にしか分からない、もっと深い内容の会話が飛び交っているようなそんな気がする。
この本を読むまで正直、インテリジェンスなんて軽視していた。あんなの映画の世界の話でしょと。でもよく考えてみれば軍隊を持たないこの国で、戦争を回避するために出来る限りのことをするためにはどうしてもインテリジェンスは必要となってくる。武器を持たない事に決めたからその方面の事は何もしない、というのでは本当に丸腰だ。他の国もほっといてくれるわけでもない。戦争なんて今どきする国なんてあるのか、とも思わなくはないが、最近の中国を見てるとその考えも甘いのかもなと思わされる。世界にはいろいろな考えの人がいる。
この本の中では佐藤が行動を共にした鈴木宗男の話が良く出てくるが、正直この人、権力を持ったガサツな田舎のおじさんぐらいにしか思えないのだが、彼は本当は有能なのだろうか。何かのニュース映像で佐藤が鈴木宗男に土下座している姿を見たことがあるが、もし本当に有能だとしたら完全にあの見た目に騙されている。自分を無能に見せといて相手を油断させる、かなりの高等技術だ。でもそうは見えないんだよなぁ。
毎日わずかに流れる国際情勢のニュースだが、その裏ではこんな得体のしれない人たちがうごめいているのだと思うと、ニュースを見る目が変わってしまう。日本もインテリジェンスへの理解を高めて政治でも、世界で存在感を見せて欲しいものだ。
著者
手嶋龍一/佐藤優