★★★☆☆
あらすじ
湾岸戦争で頭部に重傷を負って記憶障害になった男は、帰国後に事件に巻き込まれ精神病院へ送り込まれてしまう。
感想
エイドリアン・ブロディ演じる記憶障害の男は、精神病院での矯正治療の際に未来へとタイムスリップしていることに気づき、そこから物語が展開されていく。だがなぜそれでタイムスリップするのか釈然としない気持ちが残る。
しかしこの矯正治療も随分と手荒だ。拘束衣(ジャケット)を着せて、遺体保存のロッカーに長時間放り込む。母胎と似た環境に置くことで患者の精神をリセットするという医者の言い分だが、科学的根拠はなさそうだ。
こういう安易に思いついたことをすぐやってしまう、行動力だけはある人間は危険だ。しかも本人は完全なる善意でやっているだけに余計にたちが悪い。そのくせ、ついうっかり予定の時間にロッカーから患者を出すのを忘れて放置してしまう杜撰さがある。
未来にタイムスリップした主人公は、キーラ・ナイトレイ演じる事件前に助け、今は成長した女性と出会う。これもなぜ彼女に出会うようにタイムスリップしたのか分からない。事件直前に起きたことだからなのだろうか。そして当然二人は惹かれ合う、というのも良く分からない。
女医が担当する幼い患者の治療方法を、主人公は未来で知って戻ってから女医に教えるが、その治療法は元々誰が開発したのか、ここでタイムパラドックスが起きている。
主人公は自分の運命を受け入れ彼女を助けることに全力を尽くすが、非人道的な治療を告発し、まずは自分を助けることに全力を尽くしたほうが良かったのではないだろうか。彼女の人生を変えられたのだから、自分の人生も運命だと諦めずに変えようとするべきだった。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・メイバリー
製作
ピーター・グーバー
出演 エイドリアン・ブロディ/キーラ・ナイトレイ/クリス・クリストファーソン/ジェニファー・ジェイソン・リー/ダニエル・クレイグ/ケリー・リンチ/マッケンジー・フィリップス/ブラッド・レンフロ
音楽 ブライアン・イーノ