★★★☆☆
あらすじ
研修医として山奥の精神病院にやってきた男は、地下牢に入れられた多くの人を見つける。
感想
新人の若い医者が迷いつつも辿り着いた精神病院は、医者と患者の関係がどこか不思議で、奇妙な雰囲気が漂っている。そして偶然見つけた地下牢の人間たちは、自分たちが本当の医者や看護師で、患者たちに閉じ込められたのだと訴える。
しかし場所が場所だけにそんな妄想を口にする患者もいそうで、医者たちと地下牢の人間たちのどちらを信ずればいいのか疑心暗鬼になる展開か、面白くなりそうだと思っていたのに、あっさりと地下牢の人間たちが言うことは真実という前提で物語が進みだす。そこは嘘でも悩んで欲しかった。人間はシチュエーションに騙されやすいというのはありがちなんだから。普通に考えたら、精神病院の地下牢に入れられている人間はヤバい奴。
そしてそれを知った主人公は何をするのかと言ったら何もしない。医院長のふりをする元軍医の患者の指示に従って、普通に指導を受けている。次第に元軍医の患者が、医院長の患者の扱いに不満を覚えて病院の乗っ取りを実行したことが分かってくるのだが、具体的にそれを言葉ではなく、映像で見せて欲しかった。
まだ精神分析が始まったばかりで、今見ればおかしな治療法ばかりの本物の医院長のやり方よりも、乗っ取った偽物の医院長のほうがまともな治療をしているように見えるのは皮肉でもある。電気ショックで病気が治るのではなく、また別の病気になるだけだと分かっていたのもエラい。
主人公がなぜか女性患者にあからさまに執心したりと、どこかモヤモヤしながらも事件は解決していく。ただここも助ける人と倒す人の基準が曖昧ですっきりしない。ここで終わりかと思ったら、最後に驚きの真実が明かされる。
見ていて感じたもやもやしていた部分は、明かされた真実を知れば、理由があって筋が通っていたことになる。でも見事に一杯食わされた、と清々しい気持ちにならずに、まだもやもやしているのはなぜだろう。期待していたのと違ったからなのか、見たかったのはそれじゃないということなのか。メインでやっていた物語が全く無関係だった脱力感なのかもしれない。物語の重点がグラグラで曖昧だった。
スタッフ/キャスト
監督 ブラッド・アンダーソン
製作 ブルース・デイヴィ/マーク・アミン/メル・ギブソン
製作総指揮 アヴィ・ラーナー/ラティ・グロブマン/クリスタ・キャンベル/マーク・ギル/レネ・ベッソン/ヴィッキー・クリスチャンソン/カミ・ウィニコフ/デヴィッド・W・ヒギンス
出演 ケイト・ベッキンセイル/ジム・スタージェス/マイケル・ケイン/ベン・キングスレー/デヴィッド・シューリス/ブレンダン・グリーソン/シニード・キューザック/ソフィー・ケネディ・クラーク/ジェイソン・フレミング
アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち - Wikipedia
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