★☆☆☆☆
あらすじ
超能力で人を操れる男は、自分の能力が通用しない男を発見し、戦いを挑む。韓国映画「超能力者」のリメイク。
感想
オリジナルの韓国映画がリメイクしたくなるほど面白かったのか、確認したくなるほどつまらない映画に仕上がっている。
藤原竜也演じる人を操る超能力を持つ主人公。本人曰く、なんでこんな超能力を持つ人間に産んだのかと母親を恨むほど、自身の境遇を嘆いている。でも、意味なく人の動きを止めたり、超能力を使って銀行から金を盗んだりと、随分と超能力を有効に活用なさっている。幼いころに自分の父親を能力で殺したりもしていて、自分の超能力を憎んでもいるようだが、それ、超能力が悪いんじゃなくて、超能力を使って殺そうとする本人の心が悪いだけだから。
シザーハンズのように、そんなつもりは全くないのに、触るもの皆傷つけてしまうのなら、気の毒だと同情してしまうが、本人の意思で人を殺したりお金を盗んだりしておいて、そんな自分の能力が恐ろしいわー、とか言われても全然同情の余地はない。その能力を使わずに生きていけばいいだけじゃないの?と。
でもこんな風に、全部自分が悪いのに、なぜか被害者ぶっている人間は世間にたくさんいる。そして意外と同情をもらえたりしている。
ある日、主人公は自分の能力が通用しない男がいることに気づく。気になった主人公は彼を追い、やがて彼に戦いを挑む。この流れもよくわからない。なんで自分の能力が通用しない相手に戦いを挑むのか。能力が通用しないから気に入らないってこと?
しかも相手はそのことに全然気づいていない。それなのに一方的に付け回すとか、ただのストーカーだ。そしてついに襲うなんてストーカーの末期。そして付きまとわれていた山田孝之演じる男も、いつの間にか「オレ、戦うよ」とか、その気になっているし。ストーカー行為も効果あるんだなと思いました。
こういう戦いって、お互いが相手を倒すぞっていうモチベーションがあるからこそ盛り上がるのであって、こんな風に思いが一方的だと、巻き込まれてかわいそうに、としか思えない。とにかく主人公の言動が全く共感できず、嫌い。何がモンスターって、主人公の人間性がモンスター。
という、何がしたいのかさっぱりわからない物語で、ディテールも酷い。映画に一ミリも貢献していないおねぇキャラを登場させたのは何の意味があったのかとか、ラスト近くに登場するあの螺旋階段はどこにある設定なんだろう、劇場内?とか、「リング」意識している?とか不思議なことばかり。
あと、藤原竜也はどの映画でも、片腕押さえて足引きずっているような気がする。デジャビュ感があった。
全体的に笑えないコントを延々と見させられているような感覚だった。高望みはしないので、せめて笑えるコントにはして欲しかった。鑑賞後にネット上のひねりの効いた辛辣な批評を読むことまでを含めるのなら、見る価値のある楽しめる映画。駄目な映画のほうが饒舌になることがよくわかる。
スタッフ/キャスト
監督 中田秀夫
出演
石原さとみ/田口トモロヲ/太賀/松重豊/木村多江/森下能幸
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