BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「小野寺の弟・小野寺の姉」 2014

小野寺の弟・小野寺の姉 通常版 [DVD]

★★★☆☆

 

あらすじ

 幼い頃に両親を亡くして以来、今もずっと実家で仲良く暮らす年の離れた姉弟。114分。

 

感想

 中年に差しかかろうとする年頃の、肩寄せ合って生きてきた姉弟の日常が描かれる。こういう姉弟は、若い頃は温かい目で見てもらえるのだろうが、中年に差し掛かろうとする年頃になると周囲の目は変わって来るのだろうなと想像してしまう。それはこういう姉弟に限らず、適齢期に適齢期らしいことをしない人は皆そうだと思うが。しかしある時期を過ぎてしまうと、もうそういう人なのだと逆に認められるようになるから不思議なものだ。

 

 この映画の姉弟は、その時期を迎えつつある年代と言えるのかもしれない。あと数年もすれば、周囲は二人をこのままずっと慎ましく肩寄せ合って生きていく姉弟だとみなすようになるのだろう。だが今はまだ、このままの生活を続けるのか、新たな人生を踏み出すのか、本人すらも分かっていないような、覚悟が決まっていない微妙な時期だ。

 

 

 そんな背景がありつつも、表面上はいつも通りの生活を続ける二人。向井理演じる弟のわざとらしいおっちょこちょいぶりや、寝ぐせの付いた髪型、野暮ったいメガネのファッションからも分かるように、クスっと笑ってしまうような、ほんわかした笑いを散りばめつつ、彼らの日常が描かれていく。

 

 その他、病気や待ち合わせのシーンなどでは、大事かと思わせておいて実際は大したことがなかったスカシの笑いもあったりした。しかし最近は、待ち合わせをドラマチックに描くシーンはめっきり見なくなった。このスカシのシーンでも、最初は今どき待ち合わせのエピソード?と思ってしまったくらいだから、よほど工夫しないともう出来ないシーンなのかもしれない。

 

 姉弟それぞれの恋が描かれるが、その中で二人は、互いのことをずっと気にかけていたことに改めて気付かされる。姉弟愛を描いた物語だ。だがそれぞれのエピソードが凡庸で、善良すぎる雰囲気も段々としんどくなってきて、とても冗長に感じてしまった。見る側の精神面がささくれ立っているとこの世界観にイライラしてしまうかもしれないが、90分くらいの物語だったら普通に楽しめるような気がする。この内容で2時間近くは長すぎる。

 

 それから途中で、弟が絵本作家に作品のアドバイスをしていたが、このシーンは映画のハードルを上げてしまったように思う。物語の内容についてあれこれ意見を言っているこの映画は、果たしてどれだけ面白いのかな?と意地悪な目で見たくなる。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 西田征史

 

原作 小野寺の弟・小野寺の姉 (幻冬舎文庫)


出演 向井理/片桐はいり/山本美月/麻生久美子/大森南朋/及川光博/村松利史/橋本じゅん/木場勝己/モロ師岡/秋本奈緒美

 

小野寺の弟・小野寺の姉 - Wikipedia

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com