★★★★☆
あらすじ
銀行まで穴を掘って大金を盗もうと近くの店舗を借りたコソ泥たち。
感想
コソ泥たちが店舗を借りて何もしないのは怪しまれると、カモフラージュのために主人公の妻にやらせたクッキー屋が異常に繁盛してしまうという設定自体が笑える。
水道管に穴をあけたり、方向を間違えたりと全然うまくいかないトンネル掘りとは裏腹に、客が殺到して収拾がつかなくなっているクッキー屋。そしてなんだかんだでクッキー屋の事業を拡大して大金持ちになってしまうコソ泥たち。このあたりは、とにかく色々やってみることは大事だなと実感する。
大金を手にして主人公は気ままに遊んで暮らしたいのだが、その妻は教養を身に着けて成金と馬鹿にされたくないと家庭教師に絵画やオペラを学ぼうとして、夫婦の間には溝が出来始める。妻のような向上心は大事なのかもしれないが、金持ちは金持ち的生活をしなければいけないと思い込んでいるのなら、あまり金持ちになった甲斐がないかもしれない。そういった人は結局、金持ちだろうが貧乏だろうが身分相応の生活をしてしまいそうだ。個人的には金持ちなのに気取らずにファーストフードを食べたり、野球観戦してヤジを飛ばしている方が自由な感じがして好感が持てる。
遂には妻の志向する高尚な生活に耐えられず、家を出ていく主人公。ちゃんと財産を分与すればいいのに、それを断って元のコソ泥で一攫千金を狙おうとする発想が可笑しい。しかし考えてみれば教養などには興味はなく、ただ好きなように遊んで暮らしたいというのはコソ泥的発想なのかもしれない。楽して稼ぐから金持ちになっても努力をしたくないという事で、普通に地道に努力して金持ちになった人は、その延長線上で金持ちらしさを地道に身に着けていくような気がした。
色々と考えさせられる夫婦の数奇な運命がコミカルに描かれる。特に終盤の主人公が金持ちのパーティで首飾りを盗もうとする一連のくだりは面白かった。最後は妻の身につけた鑑識眼が役に立ったような、夫のコソ泥の技術が役にたったような、結局、何が良くて何が駄目なのかよく分からない結末がなんとも言えず良かった。人生なんてそんなものだ。何がどうなるかはわからない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/出演
出演 トレイシー・ウルマン/エレイン・メイ/マイケル・ラパポート/ジョン・ロヴィッツ/ラリー・パイン/エレイン・ストリッチ