「Miss ZOMBIE」　2013

★★☆☆☆

あらすじ

　とある一家にゾンビが送り付けられ、使用人として働かせられることになる。

感想

　ゾンビ映画と聞いてイメージするようなホラーやアクションは一切なく、静かに物語は進行する。とはいえ、ゾンビ映画なんだからそれっぽいことやるんでしょ？と思って見ていたのに、本当に何もなく終わってしまってかなり拍子抜けしてしまった。

　ゾンビというだけで人々は頭を銃で撃ち抜いたりするが、本当にそれでいいのだろうか？ゾンビにだって人権的なものがあるのではないだろうか？みたいな問いが含まれているようだが、正直、知らんがなという話である。たった今ここにゾンビが現れたらどこに逃げてどうやって生き延びようと四六時中妄想しているような、ゾンビに夢中な人なら興味深く観られるのかもしれないが。

　それに一口にゾンビといっても様々なタイプがいる。動きがのろく完全に自我を失っている古典的なタイプから、多少の記憶が残っている動きの素早い発展型のタイプまで、人それぞれゾンビとして思い浮かべるイメージも違う。なのでこの映画のゾンビはこのタイプのゾンビですと明示してくれないと、自分の中のゾンビのイメージとの調整に時間がかかってしまう。そんな中でゾンビにもゾンビなりの大事なものがあって、みたいな話をされても困る。

　おそらくフランケンシュタインとかシザーハンズのような悲しき怪物の物語を狙ったのだろうが、ストーリーがありきたりで退屈だ。逆にゾンビにしてしまわないで、人間でやった方がいろいろ伝わったような気もする。不慮の事故で赤ん坊を失った女が、家政婦として派遣された家庭の子供に母性を感じて感情移入してしまい…というような。

　ほとんどがモノクロでその映像は美しかったが見どころはそれぐらいで、特に面白みのないシーンが続く。セリフも少なく淡々としていて、観ているのがかなりつらかった。