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「愛の小さな歴史」 2014

愛の小さな歴史

★★☆☆☆

 

あらすじ

 幼い頃に暴力を振るわれ絶縁状態だった父親の居場所を知り、同居をすることにした女と、疎遠だった薬物中毒の妹と同居することにした男。

 

感想

 疎遠だった家族と共に暮らすことで、血のつながりという扱いに困る厄介なものを描いている。という事を、頭の中で色々補完すれば理解できるのだが、映像だけを見ていると全然納得できない。それぞれの出来事がすべて唐突に起きて脈絡がなく、ストーリーが仕上がっていない印象を受ける。登場人物たちが何でそういう行動をとるに至ったのかという流れがもう少し分かるようにして欲しかった。

 

 なかでも一番良く分からないのは、中村映里子演じる女性が憎悪を募らせ関わりたくないと思っていた父親と一緒に住むというくだり。いろいろあっても結局、血のつながった父親なので簡単に関係を断ち切ることが出来ない、という事だろうし、本人が言い訳として言っていた負い目を感じているだろう父親と一緒に暮らすことで復讐になるというのも本心なのだろう。でもいきなり一緒に住むか?と思ってしまった。

 

 

 相手への嫌がらせになるのかもしれないが、自分の私生活を全部犠牲にするなんて代償が大きすぎる。自分からそんな状況に飛び込んでいくなんて相当なマゾとしか思えなかった。とはいえそういう人を社会で意外とよく見るが。幼少時のトラウマがあるので、ちょっと正常ではないという事なのかもしれない。

 

 もう一方のヤク中の妹と暮らし始めた男。勝手に突っ走っている感が半端ない。自分の頭の中で急に膨らんだ家族への思いに突き動かされているだけで、妹の気持ちを考えているとは思えなかった。こちらもちょっと正常じゃない。

 

 この二組の家族の話が交互に描かれていくのだが、どちらも家族、家族、家族と前面に押し出してきて、かなり鬱陶しい。きっと両方の相手も同じように思っていたはず。ともに悲しい結末を迎えるが、自分の感情を押し付けて追い込んだだけだろうと言いたくなる。本人たちの中では「短い期間でしたが家族の愛を確かめることが出来ました」みたいないい話になっているところにサイコパス感を感じる。

 

 しかも、実はその思いは一方的ではなく、相手もちゃんとこちらの事を考えてくれていたと知って、少し驚いていることに驚く。それは予想できるというか、そうだと信じているから押しつけがましいことも出来たりするのだと思うのだが。逆に本当に一方的に自分の感情をぶつけていただけなのかと呆れてしまった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原作 中川龍太郎

 

出演 中村映里子/沖渡崇史/中村朝佳/池松壮亮/光石研/高橋愛実/池澤あやか/小林竜樹

 

愛の小さな歴史

愛の小さな歴史

  • 発売日: 2016/07/06
  • メディア: Prime Video
 

愛の小さな歴史 - Wikipedia

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