★★★☆☆
あらすじ
ピアニストとしての将来を嘱望されながらもピアノを止めてしまった男子高生の前に、一人の女子高生が現れる。
感想
消極的というかあきらめてしまった男子高生が、突然現れた無邪気で天真爛漫で活発な少女に強引に振り回されているうちに変わっていく、というお話だ。ここに難病の話も加わる。
しかし、湘南の海にお洒落なカフェ、渋い和菓子屋、高い橋から飛び降りても大丈夫な深さを持つ川と、ちょっとロケーション良すぎじゃないですか?と問い詰めたくなるような舞台だ。実際の湘南の高校生たちもこんな感じなのかもしれないが。そんな場所で、爽やかな若い男女の物語がたっぷりの明るい光に溢れた映像で描かれていく。
前半はキラキラした展開が続くが、やがて少女に忍び寄る暗い影。個人的にはいかにもお涙頂戴といった感じで重々しく悲劇的に盛り上げるのは嫌いなので、それが無いのは良かった。でも、いくらなんでも軽すぎないですか?と問い詰めたくならなくもない。
せめて彼女の具体的な病名ぐらい教えて欲しかったが、原作でも明示されていないらしいので仕方がない。とにかく難病とか不治の病という記号が欲しかっただけなのだろう。フワッとしている。
基本的にはこの手の物語としては定番の流れで、広瀬すずら登場人物のキャラクターを楽しむ映画と言えるだろう。中でも、好きな男子がいるのに素直になれない女子高生を演じる石井杏奈のじっとりとした演技が良かった。
最後にちょっとした驚きがあったが、逆にそれまでの話に対して色々と疑問が出てきてしまった。そんな簡単に人は変われないだろうと。
とはいえ、全体的にアクの強くない、ふんわりとした無難な物語に仕上がっている。あとは見る側の好き嫌いの問題だろう。あまり大嫌いという人はいなさそうだ。最後もふんわりで、あくまでも軽い口当たりだ。
スタッフ/キャスト
監督 新城毅彦
出演 広瀬すず/山﨑賢人/石井杏奈/中川大志/甲本雅裕/本田博太郎/板谷由夏/檀れい