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「銀座二十四帖」 1955

銀座二十四帖

★★☆☆☆

 

あらすじ

 銀座で花屋を営む男は、それを描いた画家を探すために画廊に展示されていた絵画を見て、行方不明となった兄の作品ではないかと直感する。116分。

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感想

 銀座で花屋を営む男が主人公だ。彼が、銀座の薬物のまん延を阻止しようとする話と、ある絵画を描いた画家を探す話が並行して描かれていく。だが話の焦点がどっちつかずで推進力に欠ける展開だ。

 

 そのどっちつかずの隙間を埋めるのは、銀座という町の紹介映像だ。華やかな面からダークな面、そこに集う人たちや働く人たちの人間模様など、おそらく当時の人たちが興味津々だったであろう最先端の町、銀座の様子を伝えることに費やされている。今ならテレビの情報番組でやりそうな内容だが、当時は映画がその役割も担っていたのだろう。

 

 並行していた二つの物語はやがて一つの話へと集約されていく。だが登場人物たちの不可解な動きに戸惑わされてばかりだった。まず主人公が、探している画家は自分の兄かもしれないとなぜはっきりと言わないのか、不思議だった。なぜか明言せずに言葉を濁すものだから、余計な誤解を生んで様々なトラブルを招いてしまっていた。

 

 

 その他にも、画家を探す女性がなぜ主人公に思いを寄せるようになったのかも不明だし、その夫もそんなに妻のことを愛してるならちゃんと態度で示せばいいのに、冷淡なふりをしていたのもよく分からない。もっと意思表示を皆ちゃんとするべきだろう。どうにも人物描写がしっくりこなかった。

 

 ストーリー展開が遅く、ダラダラとした冗長さを感じてしまう映画だ。女に付きまとっていた男が実は警官だったと明かすまでの、長く執拗な前振りはその顕著な例で、もはやネタバレしているのになぜそこまで引っ張るのか不思議だった。

 

 クライマックスはグッとサスペンス感が出て映画らしさが高まったり、ラストには自衛隊が登場して戦争への懸念を暗示したりと、終盤はそれなりに見どころがあったが、それでも100分ぐらいにおさめて欲しい内容だった。2時間弱は長すぎる。

 

 ところでラストの自衛隊のくだりは、駅のホームでどこかに赴任する隊員を皆が万歳三唱で送り出すシーンだったが、自衛隊になっても旧日本軍の真似事みたいなことをしていたのかと驚いた。自衛隊が出来たばかりで、他にどうするべきかよく分からないから漫然と前例を踏襲しただけなのかもしれないが、そういうのはもう止そうとはならなかったのかと呆れてしまった。きっとこのマインドは今の自衛隊にも受け継がれているのだろう。

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スタッフ/キャスト

監督 川島雄三

 

原作 「銀座二十四帖」 井上友一郎

 

出演 三橋達也/月丘夢路/北原三枝/大坂志郎/河津清三郎/安部徹/芦田伸介/岡田眞澄/佐野浅夫/浅丘ルリ子/森繁久彌(声)

 

銀座二十四帖

 

 

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