★★★☆☆
あらすじ
なぜか自宅で元妻が死んでおり、容疑者となってしまった元CIAの男は、逃亡しながら事件の真相を探ろうとする。
原題は「Taken 3」。シリーズ第3作。109分。
感想
今作で主人公は、元妻殺害の容疑で追われる逃亡犯となる。主要キャストの誰かが死んだり裏切ったりするのは、シリーズが続くと起こりがちな出来事なので少し萎える。
主人公は警察の捜査をかわしながら真犯人を探し始めるのだが、割と早い段階であっさりと捕まってしまうのは意外性があった。だがもちろんそのまま収監されるわけはなく、護送中に余裕で逃げてしまう。そんなことならわざわざ捕まらずに逃げてあげればよかったのにと、激しくアクションで振り回された警官たちに同情してしまった。
今回は主人公の不死身ぶりがすごいことになっている。これは絶対に死んだな、と思ってしまう車のシーンが二度ほどあった。どうやって難を逃れることができたのか、なんとなくの説明はあるのだが、本当に?と思ってしまうものばかりだった。
その代わりなのか、今回は主人公のうっかりぶりが目立つ。序盤の、元妻が鍵をかけていない家に突然入ってきて主人公がびっくりしていたシーンであれ?となったが、これまでの彼からは想像もできないような迂闊さだ。その後も殺人犯と疑われた場面や敵に車で追突された場面など、不用意なシーンが随所にある。彼にも衰えが見えるようになったということなのだろうか。
真犯人を探すメインストーリーは、主人公が少ない手がかりをたぐりよせて敵に迫るのではなく、敵が勝手に眼の前に飛び込んできただけなので、ミステリー的な面白みはあまりなかった。また、本当の首謀者は誰かという話もわかりにくかったし、そもそも皆悪者だからそれにこだわる必要はないだろうと思ってしまった。そしてここでも主人公は、保険金のことを見落とす初歩的なミスをしている。
今回は元妻が殺されたのだから、もっと鬼気迫る怒涛の勢いで犯人に詰め寄る主人公が見たかった。このシリーズの魅力はそこだと思っていたのだが、2作目以降はすっかりと鳴りをひそめてしまって、よくあるアクション映画になってしまっている。ただ、これまで有能ながら裏で地味な働きしか見せていなかった元同僚の仲間たちが、表に出て活躍したところは楽しかった。
無慈悲ではなくなったが、不死身になった主人公が活躍する物語だ。
スタッフ/キャスト
監督 オリヴィエ・メガトン
脚本/製作 リュック・ベッソン
出演 リーアム・ニーソン/フォレスト・ウィテカー/ファムケ・ヤンセン/マギー・グレイス/ダグレイ・スコット/サム・スプルエル/リーランド・オーサー/ジョン・グリース/デヴィッド・ウォーショフスキー/ドン・ハーヴェイ/ディラン・ブルーノ
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前作 シリーズ第2作