★★★☆☆
あらすじ
日本で何者かによって殺人犯に仕立てられてしまった中国人弁護士は逃亡を図る。
1976年の日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイク作品。中国映画。110分。
感想
演歌が流れ、日本の古い町並みが映し出されるコテコテの純和風シーンからいきなり物語は始まる。ただやはり映像にどこか違和感を感じてしまうのは外国人が撮る日本だからなのだろう。でもそれがいい。そして居酒屋での人情味あふれるやり取りを経ての突然の大虐殺シーン。しょっぱなからもう無茶苦茶で、グッと期待値を上げてくれる。
日本を舞台に中国人の主人公が警察や暗殺者から逃亡を図りながら、協力者と共に事件の真相を探る物語だ。英語を中心に中国語、日本語が飛び交っているのだが、日本語の音量が小さく、聞き取りづらいのが難点だ。これも監督がネイティブではないため、細かいチェックが出来ないからだろう。日本以外での上映では字幕か吹き替えになるだろうから、困るのは日本人だけという悲しい構図になっている。スタッフとして大勢の日本人が関わっているのだから、誰か助言をすればよかったのにと思ってしまった。日本市場も意識していたはずだ。
各地を転々としながら主人公は、後には協力者となる福山雅治演じる刑事らの激しい追撃をかわしていく。定期的にアクションシーンが盛り込まれ、随所にジョン・ウー監督らしいクールな構図のカットも見られる。もちろん鳩も飛ぶ。登場人物たちも悪者でさえ単なる悪者としては描かず、複雑なバックグラウンドの人間味あふれる人物として描いている。それでも最初の期待を裏切られてしまったように感じるのは、あまりスケールの大きさがなく、こじんまりとした印象を受けてしまうからだろう。
おそらくオリジナルをリスペクトしてこの映画は日本で撮影したのだろうが、どうせなら舞台を中国に移して、各地を飛び回るようなスケールの大きいものにして欲しかった。荒唐無稽なシーンの撮影も中国のほうがやりやすいはずだ。
それから、最初はチョイ役なのかなと思っていた和製ドラゴンこと倉田保昭が、終盤に再び登場して大暴れするのは面白かった。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・ウー
脚本/製作 ゴードン・チャン
出演 チャン・ハンユー/福山雅治/チー・ウェイ/ハ・ジウォン/アンジェルス・ウー/桜庭ななみ/池内博之/TAO/トクナガクニハル/矢島健一/田中圭/ジョーナカムラ/吉沢悠/斎藤工/竹中直人/倉田保昭/吉沢悠
音楽 岩代太郎
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