★★★☆☆
あらすじ
夫の浮気を疑う妻は、たまたま知り合った若い娼婦に夫を誘惑するよう依頼する。フランス・スペイン映画「恍惚」のリメイク作品。
感想
リーアム・ニーソンにとっては、この映画の撮影中に妻が亡くなるという、おそらく別の意味で記憶に残ることになった映画。 妻を看取るために撮影を離れ、そのため脚本に変更があったようで、リーアム・ニーソンの登場シーンはあまり多くはない。ただその分、アマンダ・サイフリッドとジュリアン・ムーアがいろんな意味で頑張っている。特にジュリアン・ムーアは当時50歳くらいか。頑張っている。
夫とは距離を感じ、息子には冷たくされ孤独を感じている女医。会話や息子とその恋人の様子など、周囲にどことなく性的な雰囲気が漂っていて、彼女の欲求不満や取り残されていく寂しさのようなものが感じられる。しかし、その満たされない心を外ではなく、それでも夫に満たしてもらいたいと思っているのがいじらしい。
夫の浮気を疑い、たまたま知り合った若い娼婦に夫を誘惑するよう依頼する主人公。浮気をしているかどうかであれば、単純に探偵でも雇えばいいような気もするが、証拠を集めて夫に突き付けたいという理由ではないからだろう。別の女とはどんな風に接しているのかを知りたい、という愛ゆえの欲求のようなものが見え隠れする。
依頼通りに主人公の夫を誘惑し、その報告をする娼婦。詳細を詳しく聞き出し、ちょっと興奮しちゃっている主人公が何とも言えない。そういう性癖も垣間見せながら、思わぬ方向に物語は進んでいく。え、そっちに行くの?とちょっと意外だった。
それでもやがて夫との間のわだかまりは解消する。結局、気持ちは口にしないと伝わらないという事か。言わなくても心は通じるなんて幻想にすぎない。そんな安堵の反面で、娼婦の言動が問題になってくる。
主人公夫妻は教授と医者という事で、金持ち感のある豪邸に住んでいる。それがガラス張りを多用していて、どことなく強度に不安を感じる作りで、見ている間ずっと気になっていたのだが、まさかそれが最後に的中するとは。そんな事で壊れる家に住むのは怖すぎる。見た目は立派だが、実際は脆いという意味であえてそうしたのかと、深読みしたくなった。
スタッフ/キャスト
監督 アトム・エゴヤン
製作 ジョー・メジャック/アイヴァン・ライトマン
製作総指揮 ジェイソン・ライトマン
出演 ジュリアン・ムーア/アマンダ・サイフリッド/リーアム・ニーソン/ニーナ・ドブレフ/マックス・シエリオット
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