★★☆☆☆
あらすじ
共謀してボートを転覆させ、泳げない夫を溺れさせた妻と愛人は、遺体が上がるまで近くのラブホテルに滞在することにする。79分。
感想
夫の遺体が見つかるまでホテルで過ごす妻と愛人、という設定は非常に映画的だ。ただ、全く面白い展開がない。
そもそもラブホテルに滞在する事に首を傾げさせられる。病院からラブホテルに直行するのは、目的を遂げた二人の感情をよく表しているが、この設定であれば殺人が疑われるサスペンス要素があってもおかしくない。
最初は勢いでそこでいいかもしれないが、滞在は旅館とかにしろよ、と思ってしまった。建前上は遺体が見つかるのを待つ妻と友人なのだから、警察に滞在先が二人でラブホテルだと知れたら、完全にクロだなと思われる。
とはいいながら、サスペンス要素はゼロだ。男を殺害した妻と愛人の今さらになって湧いてくる様々な思いが気怠く描かれていく。大それたことをしてしまったという戸惑いや後ろめたさ、死んだ男との思い出、相手への不信感などが描かれるのだが、それらのつながりが感じられず、散発的だ。こんなことがありそう、というのをただ羅列しただけに過ぎない。また、それぞれのシーンにもセンスが感じられない。
80分という短い映画だが、とてつもなく長く感じた。映画冒頭の、転覆したボートから救助されたばかりの男が、嘘だろというくらい長々とセリフを喋るのを見て、すぐにこの映画はマズそうだ、と身構えてしまったのでなおさらだ。唯一の見どころと言えば濡れ場くらいだろう。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 越川道夫
出演 山田真歩/渋川清彦/川口覚/内田淳子/遊屋慎太郎/諏訪太朗