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「ええじゃないか」 1981

ええじゃないか

★★★★☆

 

あらすじ

 幕末、アメリカから日本に戻って来た元農民の男は、芸人となった妻のいる両国で共に暮らし始める。151分。

  

感想

 泉谷しげる演じるアメリカ帰りの男とその妻である桃井かおり演じる女芸人の二人を中心にして、幕府や薩長、そしてその間でうごめく政商らといった世の中を動かす権力者たちに翻弄される庶民の姿が描かれていく。

 

 今までそんな風に感じたことはなかったが、どことなく若い頃のダウンタウン・浜田雅功に似ている泉谷しげるが良い。反骨心がありながらも、どこか愛嬌があって、ほっとけないような存在感がある。

 

 世の中に翻弄され続ける庶民の姿の中で、農民一揆の話が印象的だった。一揆の後の手打ちで、本来であれば責任を取るべきリーダーが、弱みにつけ込んで仲間の一人を首謀者としてお上に差し出し、自身の保身を図る。そして、村に不都合な存在は利用するだけ利用して、適当な理由をつけて陰湿に追い出してしまう。結局、武士や商人に限らず、権力を持った者は人間の醜い部分を露にする。

 

 

 2時間を超える長い映画だが、タイトルにある「ええじゃないか」がいつ始まるかと、ええじゃないか待ちの体勢で見ているので、そんなに時間は気にならない。ただ、予想では一時間くらいうねるような感じでええじゃないかの狂乱騒ぎが繰り広げられるのかと思っていたので、思っていたよりも短かったなというのが正直な感想だ。でもいざ始まると、人が入り乱れるザワザワと騒然とした雰囲気が良く出ていて迫力があった。全体としてお金がかけられている事もよく分かり、映画自体の勢いも感じられる。

 

 歴史の授業で「ええじゃないか騒動」の話を聞いた時、なんだかよく分からないなと思ったことを覚えているが、映画を見てもこれがなんなのかはやっぱりよく分からない。政情が不安定な世の中に対する庶民のデモ行進みたいなものだと思えばいいのだろうか。

 

 心に溜まった不平や不満、そして不安の気持ちは抑えられない。だけど露骨に幕府を攻撃するとすぐに潰されてしまう。それでも、もう居ても立ってもいられないから、なんだかよく分からないけど踊ってしまえ、みたいな事だったのか。やっぱりよく分からない。きっとやってた本人たちも、あれが何だったのか、後でうまく説明できないのかもしれないなと思ったりした。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 今村昌平

 

脚本 宮本研

 

製作/出演 小沢昭一

 

出演 桃井かおり/泉谷しげる/草刈正雄/田中裕子/池波志乃/露口茂/倉田保昭/火野正平/河野洋平/犬塚弘/倍賞美津子/高松英郎/丹古母鬼馬二/河原崎長一郎/深水三章/寺田農/殿山泰司/白川和子/かわいのどか/小林稔侍/村田雄浩/三木のり平/伴淳三郎/緒形拳

 

音楽 池辺晋一郎

 

ええじゃないか

ええじゃないか

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

ええじゃないか (映画) - Wikipedia

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