★★★☆☆
あらすじ
富豪の家で使用人が何者かに殺され、事件の捜査を担当することになった主人公クルーゾー警部は、美人の使用人に目を付ける。
「ピンク・パンサー」シリーズのスピンオフ的扱いだが、実質上のシリーズ第2作目とされる作品。原題は「A Shot in the Dark」。102分。
感想
前作に登場した間抜けな警部、クルーゾーを主人公とした物語だ。今回は世界一のダイヤモンド「ピンクパンサー」は登場せず、豪邸で起きた連続殺人事件が描かれる。
冒頭はその最初の殺人事件から始まる。事件前に屋敷内を大勢の人間が行ったり来たりする様子が「裏窓」的に描かれるだが、人の動きがあまりにも複雑で、全く把握できなくて焦った。
そして主人公がやって来て捜査が始まる。相変わらずドタバタで細かなギャグで笑いを取っていくスタイルだ。単発でやられるとイラっとするが、執拗にやられるとくだらなさ過ぎて次第に笑えてくる。それにかける意味不明な情熱に、なんでそこまでやるの?やらないと死んでしまうの?と呆れて笑ってしまう感じだ。
状況的には完全にヒロインが犯人であるにもかかわらず、美人なので逮捕したくない主人公の捜査もどきが繰り広げられる。真犯人をおびき出す名目で何度も容疑者の彼女を釈放するのは面白かったし、嫉妬させる名目でデートして、ハワイアンやフラメンコ、コサックダンスといった各国のダンスを見て回るシーンはエンタメ感があって楽しかった。ただ全体としては、今の感覚ではそこまで笑えるものではなかった。
クライマックスは、全員を集めての主人公の謎解きシーンだ。ドタバタで間抜けぶりを晒してきた主人公が、最後だけは見事に事件解決してキメるパターンなのかと思いきや、最後の最後までグダグダだった。ワチャワチャしたまま終わる締まらない展開は、スラップスティックなコメディに相応しい結末で悪くなかった。そして把握できなくて焦った冒頭のシーンも、それで良かったのだなと安心した。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ブレイク・エドワーズ
脚本 ウィリアム・ピーター・ブラッティ
出演 ピーター・セラーズ/エルケ・ソマー/ハーバート・ロム/ジョージ・サンダース/グレアム・スターク/アンドレ・マランヌ/バート・クウォーク
音楽 ヘンリー・マンシーニ
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