★★★☆☆
あらすじ
世界中を旅する日本人の男は、ひょんなことからパキスタン人・アメリカ人と知り合い、共にアメリカ西部の砂漠を車で旅することになる。
感想
アメリカ西部の広大な風景の中で展開される物語だ。砂漠の真ん中で日本人とパキスタン人が出会うも予期せぬトラブルに見舞われ、そこに現地アメリカ人が現れる。奇妙な三人組が成立する過程は良く出来たプロットで、説得力があった。
そして三人組の旅が始まる。序盤は出ていった妻を迎えに行くパキスタン人男性に若い男女が付きあう形で、少し「幸福の黄色いハンカチ」みたいだった。だがそれは早い段階で決着がついてしまい、その後はおかしな組み合わせの三人組が絆を深めていく様子が描かれていく。
ただ、旅する彼らがどこに向かっているのか、何が目的なのかが分からないままに砂漠を彷徨うだけなので、停滞感が漂っている。セリフも少なく、物静かな雰囲気の中で進行するのでなおさらだ。背後に西部劇のような雄大な光景が広がっているのだから、それを見るだけで十分だろう、ということなのかもしれない。確かにそれがロード―ムービーの醍醐味で一理あるのだが、あまりにも中身が薄い。
ラストも、たまたま出会った三人だから旅人らしくクールに別れるのかと思っていたのに、ベタな結末が待ち受けていて落胆してしまった。あれはたまたま互いに求めていたものが合致しただけの一時的なものでしかなく、全然そういう類のものには見えなかった。そういうエンディングにするつもりだったのなら、納得できるような伏線をたくさん散りばめておいて欲しかった。
違う場所からやってきた三人が砂漠で出会い、それがやがて大きな川となるような物語にしたかったのかもしれないが、小さく薄い水たまりが出来ただけだった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 舩橋淳
出演 オダギリジョー/カヴィ・ラズ/クロエ・スナイダー