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「ボーン・コレクター」 1999

ボーン・コレクター (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 事故により半身不随となった科学捜査官が、女性警官とコンビを組んで連続殺人事件の犯人を追う。

 

感想

 自宅で寝たきりの科学捜査官が、女性警官が行う現場検証をもとに事件の真相に迫っていく。いわゆる安楽椅子探偵もので、主人公が頭脳を、女性警官が行動を役割分担する形となっている。事件現場で何を見つけ、それから何を推理したのかというような、本来なら一人の名探偵の中で自己完結してしまうことがすべて言語化されるので、分かりやすくて面白い。さらに二人のコミュニケーションにおける微妙なタイムラグが緊張感を生んでいて、ハラハラドキドキもさせてくれる。

 

 そしてこのコンビを演じる二人の役者が素晴らしい。半身不随の主人公を演じるデンゼル・ワシントンはほとんど同じ状態で大きな動きはないにもかかわらず、バリエーション豊富な演技でマンネリを感じさせることがない。一方の若い警官を演じるアンジェリーナ・ジョリーも、初々しさを感じさせながらも凛とした佇まいで華がある。彼女はスターになるのも納得の存在感を放っていた。

 

 この二人が協力することで少しずつ犯人に迫ってはいるのだが、その間に多くの被害者が救出されずに死んでしまうのがリアルだ。彼らが助かってしまうとその証言が注目を集め、科学捜査で犯人を見つけ出すというこの物語の趣旨から外れてしまうという製作者の意図があるのが主な理由なのだろうが、実際のところ、そんなに都合よく被害者を助けられることはなかなかない。それから以前から連続殺人事件は起きていたのに、警察がその関連性を見落としてしまって単独事件として処理していたというのも地味に怖い。こういうのも現実には良く起きていそうだ。

 

 

 やがて犯人による数々の謎めいた犯行の理由が判明するのだが、なぜ犯人がこんな面倒くさいことを行うのか、その目的はよく分からなかった。そこは単なるクレイジーな犯人の趣味の世界ということなのかもしれないが、後で判明する犯人の犯行動機から考えると、特に猟奇的な趣味は持ち合わせていないはずだ。逆に猟奇的な殺人というものがどういうものかよく分からず、それらしく見せるために参考文献を用いたという事なのかもしれない。もしそうだったとしたら、特段楽しくもない、辛くて面倒くさいだけの作業を仕事のようにやっていたという事になり、なんだか間抜けではある。なんなら主人公の方がこの事件に楽しく取り組んでいたかもしれない。

 

 そんな犯人が、動けない主人公に襲い掛かるクライマックスは、こんなのノーチャンスだろうと絶望的な気持ちになってしまった。これはなかなか味わえないレベルのお先真っ暗感だ。だがこんなに絶体絶命に思えても、やれることは何かある。最後まで決してあきらめず、必死に戦いつくす主人公の姿になんだか勇気づけられてしまった。自分も頑張ろう、まだやれる、と思えてくるラストで元気が出た。

 

スタッフ/キャスト

監督 フィリップ・ノイス

 

原作 ボーン・コレクター 上 (文春文庫)

 

出演 デンゼル・ワシントン/アンジェリーナ・ジョリー/クィーン・ラティファ/マイケル・ルーカー/エド・オニール/マイク・マッグローン/リーランド・オーサー/ルイス・ガスマン/ジョン・ベンジャミン・ヒッキー

 

撮影 ディーン・セムラー

 

ボーン・コレクター - Wikipedia

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