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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「バーン・アフター・リーディング」 2008

バーン・アフター・リーディング(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 スポーツジムに落ちていたCD-ROMにCIAの極秘情報が入っていた事から巻き起こる騒動。

 

感想

 豪華キャストで織りなすコメディ。中でもブラッド・ピット演じるジムのインストラクターのいかにも頭の悪そうな感じが良かった。彼の軽薄な行動が事件の引き金となった。その他の登場人物たちもどこか間が抜けていて、見ている間ずっとニヤニヤしてしまう。ここが面白いところですよとわざとらしく強調せず、さらっと描く演出も良かった。

 

 しかも彼らは揃いも揃って行動力だけはある。頭が悪いのに行動力はある、というのは一番有害なやつだ。女のことしか頭にないようなジョージ・クルーニー演じる男が、数日間地下室に籠もって怪しげな作業をしているから何を企んでいるのかと思ったら、とんでもないものを作っていた。そんなものを作っていたのか、なんなのだその無駄な情熱と行動力は、と呆れて笑ってしまう。

 

 

 そして、CIAの極秘情報をもとに情報元の男を脅そうとしたのに失敗したジムの女従業員が、その次に迷うことなくロシア大使館に向かったのには爆笑してしまった。いくら切羽詰まっているとはいえ、国家機密を敵国に売り渡すとなるとさすがに躊躇してしまいそうなものなのに、そういうものはなくて全く何も考えていないのがすごい。しかもそこも駄目なら次は中国に行けばいいとか言っていて、まったく節操がない。思いつきだけでどんどん行動してしまう怖い人だ。

 

 昔はこういうヤバい人ってたまにいるよな、くらいの認識だったが、最近はそういう人たちが思っている以上に世の中にいるらしいことがSNSなどで可視化されており、寒々とした気持ちになってしまう。彼らの、何がおかしいの?と見つめ返してくるキョトンとした顔が恐ろしい。

 

 そんな人間たちによるCIAの極秘情報をめぐるわけの分からないいざこざを、戸惑いながらもテキパキと指示を与えていくJ・K・シモンズ演じる上官のドライさも面白い。そして皆が簡単に死んでいく中で、一番ヤバイ人物だけがなぜか目的を果たすことに成功するという展開は、本当なら納得がいかないはずなのだが、なぜか一周まわってじわじわと笑えてくる。

 

 人が死んだりしながらも終始コミカルなのだが、そんな中でよく考えると、女性に自分の思いに気づいてもらえず、期待に応えようと無理をして頑張った結果死んでしまったジムのオーナーがひとり哀しい。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作/*編集 イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン

*ロデリック・ジェインズ名義

 

出演

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フランシス・マクドーマンド/ジョン・マルコヴィッチ/ティルダ・スウィントン/エリザベス・マーヴェル/リチャード・ジェンキンス/ J・K・シモンズ/デヴィッド・ラッシュ/オレク・クルパ/ジェフリー・デマン/ダーモット・マローニー/クレア・デインズ

 

バーン・アフター・リーディング - Wikipedia

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