★★★☆☆
あらすじ
ある日突然、携帯電話を使用した人々が凶暴化するようになり、途中で知り合った仲間と共に家族の安否を確かめに行く男。
感想
携帯電話を使用したことにより凶暴化してしまった人々が、運良く難を逃れた人々を襲うようになる。ゾンビ映画の変形版のような映画だ。だが、なんでそんなことが起きたのかがよく分からないし、ゾンビのように噛みついたところで同類になるわけでもないのになぜ彼らが人間を襲うのかも分からないしで、だいぶモヤモヤしてしまう設定だ。でもそれを言い出したらゾンビ映画も同じようなものかもしれないが。
突然そのような事態に遭遇して家族が気になる主人公は、安否を確かめに直接彼らの元に向かおうとする。そんな彼に途中で知り合った仲間たちが同行するのだが、なぜ彼らが主人公の私的な目的につき合うのかがよく分からなかった。じっとしていた方がリスクは低いはずだ。一人でいるのは心細いとか、残ったところで何もすることがないとか、動くことで何か希望の持てる情報を入手できるかもしれないとか、そんな風に思ったのかもしれない。だが、その後に出会った生き残りの人々との交流の様子を見ていると、互いに助け合うアメリカ人の開拓者精神のようなものがあるのかもしれないなと思ったりもした。
仲間が増えたり減ったりしながら家族の元に向かう旅を続ける一行。しかしこの映画での一番の謎は、なぜ徒歩で向かうのかという事だ。まだ世の中がおかしくなって間もないので、ガソリンは各地に潤沢にあるはず。速いし、身を守れるし、逃げられるしでいいこと尽くめの車をなぜ使わないのだ、と終始疑問で、落ち着かない気分にさせられる。なぜそうしなかったかは謎だが、唯一考えられるとしたら、その方が映画が盛り上がるから、だろうか。
映像が美しかったり、時おり交えられるジョークが面白かったりと良い部分もあったのだが、全体としてはよくあるゾンビ映画、それも少し低調のやつといった印象。もうちょっとハラハラドキドキさせてくれてもいいのに、と思ってしまうような内容だった。でも聖書の引用があったり、地獄の業火かというようなシーンがあったり、何とも言えないラストといい、実は案外深い意味が込められているのかもしれない。だが、それについてじっくり考えてみようという気にはならないのが残念だ。
スタッフ/キャスト
監督 トッド・ウィリアムズ
脚本 スティーヴン・キング/アダム・アレッカ
原作 セル(上) (新潮文庫)
製作総指揮 スティーヴン・ヘイズ/ピーター・グレアム/ベン・サッシュ/パディ・カレン/エドワード・モクタリアン/アルメン・アゲアン/ローレンス・フリード/タイラー・ホーズ/ブライアン・ポープ/ジェノ・タッツィオーリ/ザヴィエ・ジャン/マリーナ・グラシック/ジャン・コルベリン
製作総指揮/出演 ジョン・キューザック
出演
イザベル・ファーマン/ステイシー・キーチ/ロイド・カウフマン
音楽 マーセロ・ザーヴォス
撮影 マイケル・シモンズ