BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「コード211」 2018

コード211(字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 更生プログラムの一環として、学校で暴力行為を働いた高校生を乗せてパトロールをしていた警官が、銀行強盗に遭遇する。

www.youtube.com

 

 1997年に起きた「ノースハリウッド銀行強盗事件」をモチーフにした映画。

ノースハリウッド銀行強盗事件 - Wikipedia

 

感想

 冒頭はアフガニスタンから始まり、世界を股に掛ける壮大な物語が展開されていくのかと思いきや、アメリカのとある町で起きた銀行強盗の話に落ち着いていく。警官である主人公が、同乗していた高校生の手前、駐車違反していた銀行強盗の逃走用の車を無視できなかったことから、最悪の事態へと発展してしまう。

 

 おそらく主人公が駐車違反を見逃していれば、誰も人質として長時間拘束されることはなく、ほぼ被害者も出ることはなかっただろうと考えると、なんだか複雑な気分になる。だからといって強盗を放置するわけにもいかないので難しいところだ。強盗が銀行を出て逃走態勢に入ってから警察が取り囲めば、被害は少なくなりそうだがそんなに都合よくは動けないだろう。

 

 

 登場人物が無駄に増えすぎないようによく整理され、その人物関係でドラマを生み出すなかなか巧みな演出だ。ただ90分未満の作品なので、人物描写をじっくりとやるわけにはいかず、形式的になってしまっているのが残念なところだ。主人公の同僚で娘婿の警官が、撃たれて死を覚悟しドラマチックな行動をとるのだが、正直なところそんなに感情移入できなかった。泣けるシチュエーションであることは分かるが、泣けるほどその警官のことも娘のことも描かれていない。

 

 ほぼ銀行強盗の一部始終だけを描いた映画で、それなりの緊張感があってダレることなく見ることが出来た。ただ振り返ってみると何も大したことが起きていない。主人公がヒーロー的活躍を見せるわけでも、銀行強盗が信じられない行動をとるわけでもない。特に強盗に関しては、インターポールの女がわざわざ、ただでは済まないと警告していたので、どんな秘策があるのかと期待していたのに、ただ普通に逃げるだけだったのには脱力した。

 

 意外なことは何も起きないドキュメンタリー風の銀行強盗ものだなと思ったのだが、鑑賞後に実際に起きた事件をモチーフにしていると知って納得した。でも実際はこんなに人は死んでいないし、背景に世界的な軍事会社の暗躍もない。それならわざわざ大作感を出さず、小ぶりなアクション映画の良作を目指せばよかったような気がする。

 

 クライマックスは、暴力は駄目だと教え込むはずだった高校生に助けられる展開で、不意に重いテーマを突き付けられてしまった。悪くはないが、あれもこれもと変な色気は出さず、もう少し内容を絞り込んだ方が良かったような気はする。

 

スタッフ/キャスト

監督 ヨーク・アレック・シャクルトン

 

出演 ニコラス・ケイジ/コリー・ハードリクト/マイケル・レイニー・Jr./オリ・フェッファー/ウェストン・ケイジ/アレクサンドラ・ディヌ/ソフィー・スケルトン

 

コード211(字幕版)

コード211(字幕版)

  • ニコラス・ケイジ
Amazon

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com