★★☆☆☆
あらすじ
昔の仲間に脅されて共に空き巣に入った男は、次々とやって来る訪問者の対応に追われることになる。
感想
空き巣に入った家に次々と人が現れ、家主のふりをしたり客人のふりをしたりして、主人公が何とか難を逃れようとするドタバタ劇。主人公の嘘に登場人物たちが互いに誤解し、納得してしまうような仕組みはよく練られていて感心した。ただそのすれ違いが全然笑いにつながっていないのがとても残念だ。
まずいかにも舞台劇です、みたいな撮り方が駄目だ。引きの映像が多すぎて、笑いどころが分かりにくい。舞台だったらその場で観客が笑うことによって相乗効果で空気が作られていくのかもしれないが、映画は一方的なものなので笑える空気をしっかりと提示していく必要があるだろう。
主人公の地に足がついていないような、フワフワとした演技も笑いづらくしている。演技が下手というわけではないが、コメディの演技ではない。そもそもキャラクター設定がそんな感じで、それは主人公だけではなく他の登場人物たちにも言える。緩急なくだらだらとすべてが流れていく。
そんな中で宮川大輔演じる男だけが地に足がついたキャラクターだったが、他の人物たちとのギャップがありすぎて、彼のシーンだけ急にヒュンと縮こまってしまうような冷たい印象になってしまっていた。ただ彼のようなリアリティのある役割は、主人公が担った方が良かったのかもしれない。そしてまわりのおかしなキャラクター達を動かしていった方が上手くいったような気がする。
それからどうでもいい話だが、主人公が着ているセーターに書かれた「Los Angels」の文字が途中から気になってしまって集中できなかった。余計なノイズとなるようなそんな衣装をなぜ選んだのだろうかと、出てくる度にイライラした。なんでロス?
後半はドタバタ劇から一変して、家主である書けなくなった絵本作家の新作を、主人公らが皆で考える展開となる。だがそんな絵本作家の新作なんて知らんがなと思ってしまって白けてしまった。それを言ってしまうと、全てのフィクションなんてどうでもいい話なのだが、そう思わせてしまった時点でもう駄目なのだろう。失敗したコメディを見せられるほど苦痛なものはない。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 西田征史
出演 丸山隆平/市村正親/石橋杏奈/宮川大輔/片桐仁/高畑充希/峯村リエ/ユースケ・サンタマリア/チャド・マレーン/向井理/片桐はいり