★★★★☆
あらすじ
親戚を助けるために政情不安定なベトナムにやってきた香港の男は、空港でトラブルに巻き込まれるが、謎の美女に助けられる。
「男たちの挽歌」シリーズ第3作目。チョウ・ユンファ、アニタ・ムイ、時任三郎ら出演。香港映画。117分。
感想
「男たちの挽歌」シリーズの第三作目だが、チョウ・ユンファ演じる男の若き日を描いており、第一作目の前日譚となっている。前の2作を見ていないくても大丈夫な内容だ。監督もこれまでのジョン・ウーではなく、ツイ・ハークに変わっている。
ベトナム戦争末期のサイゴンが舞台だ。主人公が政情不安定な現地から香港へ親戚を脱出させようとする。学生によるデモや軍閥が跋扈する現地の様子が描かれるが、それが妙に生々しいのが印象的だ。ドキュメンタリーの映像ぽいのだが、どのように撮影したのか気になった。
今作では主人公と親戚の男、そして謎の美女の三人の関係が描かれる。男くさかったこれまでのシリーズとは違い、恋愛要素が強く押し出されている。ただ、アニタ・ムイ演じる紅一点の女性は、マシンガンを連射したり、二丁拳銃で撃ちまくったりと、これまで登場してきた男たちと同様に勇ましい。男に守ってもらわなければいけないような弱さはない。
クローズアップしている恋愛要素も、これまでのシリーズにあった同性愛的な匂いをちょっと強くした程度だ。結局今までと変わりなく、登場人物たちの熱い絆が描かれたハードボイルドなストーリーとなっている。
良好だった主人公ら三人の関係は、行方不明だった女の恋人が戻ってきたことで変わってしまう。この恋人を演じるのは、時任三郎だ。ただ声は本人のものではなく広東語に吹き替えられているので、しばらくは今誰が喋ったの?と違和感があった。三人とこの男、そして現地の軍閥らが入り混じった戦いとなっていく。
クライマックスでは、派手な銃撃戦や戦車との戦いなどが続き、相変わらず激しくて見ごたえがある。メインの三人にちゃんと見せ場が用意されているが、レオン・カーフェイ演じる男がランボーみたいになっていたのは可笑しかった。
そしてそんな中でもしっかりと人間ドラマが描かれている。時任三郎演じる男が、怪しい動きをした部下を撃ったことで自分もやられることになってしまったシーンは、この映画の世界観をよく表していた。身内は信じなければならない。疑っては駄目だ。
両者の間に割って入るベトナム軍閥が、やや話を分かりづらくしていた感はある。ただそんな中でも、一番ひどいのは空港職員ではないかと思ってしまうくらい、彼らの悪辣ぶりは記憶に残る。
映画製作当時の、東西冷戦の終焉や天安門事件など、世界中がざわついていた激動の時代の雰囲気が感じられる作品となっている。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ツイ・ハーク
脚本 タイ・ホー/リャン・ユーミン
出演 チョウ・ユンファ/アニタ・ムイ/レオン・カーフェイ/時任三郎/シー・キエン
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