★★☆☆☆
あらすじ
テレビキャスターの男は、週末を共に過ごす3人の旧友がソ連のスパイであることを知らされ、彼らを転向させるよう依頼される。
サム・ペキンパー監督、ルトガー・ハウアー、ジョン・ハート、デニス・ホッパーら出演。原題は「The Osterman Weekend」。102分。
感想
社会に痛烈に切り込むテレビキャスターが主人公だ。週末を共に過ごすことになっていた旧友三人がソ連のスパイであることを知らされ、CIAの指示に従い転向させるよう依頼される。
だがまずこの導入部分が分かりづらい。主人公の三人の友人がスパイだよ、と言えばいいのに、三人のスパイが見つかった、この三人には共通の友人がいる、それは主人公だ、と説明するので回りくどい。しかもその前に、このスパイを見つけたCIAの男の話からスタートするのでますますややこしい。うまく把握できずに、いきなり置いてけぼりを食らったような気分にさせられる。
邸内に隠しカメラが設置されたCIAの監視の下、主人公たちの週末が始まる。そして、CIAの誘導があったり、友人らが疑心暗鬼になったりする様子が描かれていく。だが正直なところ、何が起こっているのかさっぱり分からなかった。
丁寧な心理描写が一切ないので、いきなり不安になったり怒ったりする彼らにただ戸惑うしかなかった。今彼らが何を気にしていて、何をしようとしているのかが全く読み取れない。ただ皆がピリピリしているのだけは分かるので、いやならとっとと帰ればいいのに、とずっと思っていた。
終盤、主人公に指示を出していたCIAの男の本当の目的が明らかになる。ただこれもまたよく分からなかった。どうやら彼は私怨を晴らそうとしているらしく、友人たちがスパイであるというのも嘘らしいのだが、説明を聞いてもまったくピンと来なかった。そうなの?と首をかしげながら見るしかなかった。
そして週末が終わり、主人公の反撃が始まる。だがここまでずっとよく分からない展開が続いたので、もはや何が起きているのかちゃんと理解しようとする気力はなく、無駄な抵抗はやめてただ受け入れるだけだった。何かやっているなと、傍観者の気分だ。
最後に、テレビに刺激を求める大衆に対する批判的なメッセージが発せられる。途中で主人公が隠しカメラの映像に夢中になるシーンがあって、もはやただのノゾキじゃないかと思ったが、この結末を示唆していたのだろう。無駄にヌードが多かったのもそのせいかもしれない。今ならその批判はSNSの刺激的な投稿に熱中している人たちに向けられるのかもしれない、などと思いはしたが、映画全体から考えると唐突でちぐはぐな印象がある。
物語を理解するので精一杯の映画だ。
スタッフ/キャスト
監督
脚本 アラン・シャープ
出演 ルトガー・ハウアー/ジョン・ハート/デニス・ホッパー/バート・ランカスター/クレイグ・T・ネルソン/メグ・フォスター/クリス・サランドン/ヘレン・シェイヴァー