★★★★☆
あらすじ
養子に出し行方不明になった資産家の跡継ぎを見つけるよう依頼された女霊媒師とその恋人の運転手。ヒッチコック最後の作品。
感想
女霊媒師が資産家の老婦人相手に仕事をしているシーンから映画が始まる。あまり霊媒の知識がないので、イタコのように死者が霊媒師に乗り移っているのかと思ったら、落語的に霊媒師と死者が会話する形式で、最初は何をやっているのか良く分からず戸惑ってしまった。
そんなわけで、ちょっと気分が乗らない感じで始まったのだが、その後はテンポよく展開される。遺産相続人を探すよう依頼された女霊媒師とその恋人で主人公の運転手。テンポ良すぎじゃないかというくらいトントン拍子で相続人周辺までたどり着く。ただ、犯罪者となっていた相続人が、自分の身辺を探る主人公たちを警戒したことから話はややこしくなっていく。
そんな中で、主人公たちの車が一味に細工されて、ブレーキが効かない状態で曲がりくねった山道を猛スピードで下っていくシーンがある。40年以上前の作品なのでローテクの手法ではあるのだが、なかなかの迫力。アイデアさえあればこんな事も出来るのだなと感心した。
ちなみにブレーキが効かずに必死の形相で運転する主人公の隣の席で慌てふためく女霊媒師が、殺意を覚えるほど鬱陶しかった。このあたりはコメディ的な演出で、他にもそんなシーンが時折顔をのぞかせる。
主人公たちインチキ霊媒師カップルと相手の犯罪者カップルの対決、みたいなイメージだったが、よく考えればインチキ霊媒師カップルは、依頼通りに真面目に相続人を探しているわけで、そんなに悪人というわけでもない。本当の悪い詐欺師であれば適当な人物を嘘の相続人に仕立てて騙すことも出来た。霊媒にしても、例えインチキだったとしてもそれで相手は喜んでいるので、役には立っている。
終盤、主人公と犯罪者がついに出会い、いよいよ直接対決か、と思っていたら、予想外のあっさりとした決着。でもとてもすごいスマートで、それが逆に気持ち良かった。ラストもひねりが効いていて、悪くない余韻。
スタッフ/キャスト
監督/製作
出演 カレン・ブラック/ブルース・ダーン/バーバラ・ハリス/ウィリアム・ディヴェイン/エド・ローター/キャスリーン・ネスビット/キャサリン・ヘルモンド/チャールズ・タイナー
音楽 ジョン・ウィリアムズ