★★★☆☆
あらすじ
慈善活動家の老女が殺され、彼女の養子として育てられた4人の男は復讐を誓う。
1965年の映画「エルダー兄弟」のリメイク。108分。
感想
身寄りのない子供たちの引き取り手を探し、恵まれない環境から非行に走る子供たちには救いの手を差し伸べる。殺された老女が行ってきた貧しい地域での活動ぶりは、聞いただけでも心を動かされてしまう。そんな彼女の最後がこんな形だったのは残酷だ。
素行が悪すぎて引き取り手がなく、そんな彼女に育てられた4人の男たち。葬儀の後に彼らが彼女を偲んで、しんみりと食事をするシーンは切なかった。彼らが復讐を誓うのも理解できる。当然の流れと言えるだろう。
ただ、それにしても彼らのやり方は荒過ぎた。まずは様子を見るということをせずに直線的で、強引に力任せに聞きたいことを聞きだしていく。特に直接の実行犯への復讐の仕方は有無を言わさない感じで、見ているこちらが若干引いてしまうくらいだった。元々素行が悪かったのだから分からないでもないのだが、彼らを育ててくれた殺された母親は、これを見てどう思うだろうか。
やがて彼女の死は、単なる強盗事件に巻き込まれたというものではなかったことが分かってくる。ただ、この辺りのいきさつは少々分かりづらかった。しかし、キウェテル・イジョフォー演じる黒幕の男は分かりやすく酷い奴だった。のちの伏線になるのだが、よくこんな男にまわりはついていくなと思ってしまうほどの横暴ぶりだった。彼のやる事も、部下に指示することも荒っぽいので、この映画はそういう世界というか、そういう街のお話といえるのかもしれない。
最終的にはそんな敵の組織と対峙することになった兄弟。人数的に圧倒的に不利な状況で迎える緊張感のあるクライマックスは、観客の予想を裏切るような胸のすくような展開だった。確かに気持ちよさは感じるのだが、冷静に考えると、これはいつ考えてどうやったの?と思わなくもなかった。
あれだけのことをやっておきながらお咎めなし、という最後まで荒っぽくマッチョな世界だ。強引だよなと思ってしまうのだが、回りくどいことをしない分テンポよく展開し、最後まで停滞することなく入り込んで見られる映画となっている。この映画の特徴である荒っぽさも、そういう世界観だと思えば納得できるかもしれない。
それから、劇中で使われる音楽が良かった。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・シングルトン
出演 マーク・ウォールバーグ/タイリース・ギブソン/アンドレ・ベンジャミン/ギャレット・ヘドランド/テレンス・ハワード/ジョシュ・チャールズ/ソフィア・ヴェルガラ/フィオヌラ・フラナガン/キウェテル・イジョフォー/タラジ・P・ヘンソン/バリー・シャバカ・ヘンリー
音楽 デヴィッド・アーノルド/エドワード・シェアマー
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