★★★☆☆
あらすじ
幼い娘を惨殺され、復讐に燃えるフランス人の男は、日本人の女医の協力を得て、犯人と思しき男を拉致監禁する。
黒沢清監督の99年の同名作品をセルフリメイクした映画。113分。
感想
幼い娘を殺された男が真相を確認し、復讐を果たすため、容疑者を拉致監禁する物語だ。最終的にはトータルで三人も拉致するのだが、その際に必ず寝袋に入れて運ぼうとするので、そのこだわりは何なのだ?と可笑しかった。
寝袋なんて、中身は人だとすぐにバレてしまいそうで危険だ。それなのに脅されて連行に同意した人にまでわざわざ寝袋に入るよう命令し、引きずって運ぶ。それなら普通に車まで歩いてもらった方が早い。だが、寝袋の手も足も出ないところや、それを引きずった跡が、タイトルの「蛇の道」を表しているのだろう。何度か出てくるロボット掃除機も蛇を連想させる。
それから、主人公を手伝う日本人女医が怪しい。監禁の手詰まり感を打破し、次の段階に進めるのはいつも彼女だった。しかも監禁した者を唆す手口も巧妙だ。でっちあげでも何でもいいからとにかく終わらせようとしているだけなのかと思っていたら、ちゃんと真相に近づいている。
これは彼女が患者に語っていたように、苦しみを終わらせようとしているのだろう。だがあまりにも上手く行き過ぎて、彼女は何者なのだ?となる。そういえば患者の遺族にした話も、どうして死んだ母親と話が出来るの?どこで話をしたの?と不思議だった。
98年のオリジナルと比べると、だいぶ話が分かりやすくなった印象だ。だがその分、得体のしれない不気味さは半減してしまったように感じる。特に柴咲コウ演じる協力者は、オリジナルの哀川翔が演じた塾講師よりも怪しさがかなり減ってしまった。
この作品とオリジナルとで、変わったところと変わらないところ、それを見比べてみるのも面白いかもしれない。監督が何を描きたかったか、その意図がよりはっきりと見えてきそうだ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 黒沢清
原作
出演
ダミアン・ボナール/マチュー・アマルリック/グレゴワール・コラン/西島秀俊/ヴィマラ・ポンス/スリマヌ・ダジ/青木崇高
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オリジナル