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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「激動の1750日」 1990

激動の1750日

★★★☆☆

 

あらすじ

 日本最大の暴力団組織で起きた跡目争い。実際の暴力団の抗争をモチーフとした作品。

 

感想

 主演は中井貴一。ドスを利かせた声や仕草でヤクザ感を出してはいるが、どうにもヤクザといった感じがしない。さらにヤクザの中でも武闘派ということになっているのだが荒くれ者にも見えず、スマートさがにじみ出てしまっている。ひとり毛並みが違うという意味では目立っていて主役感はあり、きっと現実のヤクザにもこんな人がいるのだろうとは思ったが、もうちょっと説得力のあるエピソードや演出が欲しかった。

青春の誓い

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 だがよく考えてみれば、他の役者たちはそんなものがなくてもいかにもヤクザに見えたので、やっぱりミスキャストなのか。もしくは実際にあった事件を題材にしているので、モデルとなった人物がこんな感じだったという可能性もある。

 

 跡目を継いだ若手と、反発して組を出て行った古い世代との抗争が描かれる。日本最大の組織なので、色んな人が登場して日本のあちこちで事件が起こる。結構な数の役者陣が登場し、群像劇と言えば聞こえはいいのだが、実際はどこが見せ場なのか分からないメリハリのない展開がずっと続く。一応は、ここが盛り上げたいシーンなのだろうなというのは分かるが、その前後を丁寧に描かずにいきなりそこだけを見せてくるので、見ているこちらとしては感情移入もしにくく、あまり気分が盛り上がらない。

 

 

 延々と続く抗争を見ていて思うのは、皆が死ぬ気で戦うから凄惨になっていってしまうのだろうなという事だ。動物の世界ではあまり同種で殺し合わないイメージがあるが、人間は集団で戦うので、集団の利益のために自分の命を犠牲にする、という発想が出てきてしまうのだろう。動物のように素直に負けを認めて降参すれば、もっと穏当な世界になるのかもしれない。

 

 それから、日本では最後まであきらめずに戦って散るのが潔く、美学とされがちだが、諸外国から見ればいつまでも負けを認めず潔くない、と映る事があるのかもしれないなと思った。特攻隊もそうだ。

 

 陣内孝則演じる匿われていた殺し屋が、命を張って逃がしてくれた親分の心意気を台無しにするような犬死をしたり、手に負えなかった息子を預けといて、死んで戻って来たら親分をなじる母親だったり、この界隈ではよく分からない理解不能の事がよく起きるのだなというのが率直な感想だ。

 

 それからタイトルに「1750日」(約5年弱)という数字を入れている割には、あまり日にちを意識した演出がされておらず、常に心のどこかで「今、何日目だよ」とつぶやいている自分がいた。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本 中島貞夫

 

原作 首領(ドン)を継ぐのは俺だ (徳間文庫)

 

出演

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中条きよし/三上真一郎/趙方豪/清水健太郎/萩原健一/岡田茉莉子/有森也実/渡瀬恒彦/中尾彬/石立鉄男/本田博太郎/志賀勝/陣内孝則/加藤雅也/火野正平/夏八木勲/(声)田口計

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音楽 小六禮次郎

 

激動の1750日

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激動の1750日 - Wikipedia

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