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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「花筐/HANAGATAMI」 2017

花筐 HANAGATAMI

★★★★☆

 

あらすじ

 佐賀県唐津にやって来た主人公は、学校で出会った同級生や従妹の女友達らと青春を謳歌する。168分。 

 

感想

 美しいというよりも奇妙と言った方がいいような映像の中で物語は繰り広げられる。最初は主演の窪塚俊介演じる主人公の子供っぽいキャラクターが受けつけなかったが、観ているうちに次第に慣れてきた。こういうキャラクターは映画やテレビではなく「舞台」の世界でよく見る。考えてみれば、高校生役を彼や長塚圭史、満島真之介ら全然年相応ではない役者が演じているのも舞台ぽいと言える。年相応の若者が演じればきっと若者らしさが自然と滲み出てくるが、この映画ではそうではなく無理やり発露するような若者特有の青臭さを求めているような気がする。

 

 太平洋戦争が始まる直前の佐賀県唐津が舞台。戦争の気配を感じながら青春時代を過ごす主人公とアクの強い同級生や女友達の様子が描かれていく。登場人物たちはみな独特でクセが強く、その行動の真意がよく読めなかったりするのだが、なんとなく戦争で国に殺されるくらいなら、自分で自分の生を精一杯生きてやるという反骨心のようなものが感じられる。同性愛的に感じられる描写もあるが、変に躊躇せず自分の思いの丈をぶつけた結果なのだろう。

 

 

 体が丈夫な男と不自由な男だったり、肺病で死期の近い従妹と肺病で夫を失った叔母など、対照的なキャラクターが登場するが、皆それぞれの事情を抱えながらも必死にありったけの生を享受しようとしている。しかし、そんな彼らもやがては戦争の大波に飲まれていく。大きなうねりが出来てしまったあとではもはや誰にもどうすることは出来ない。そうならないようにその前にそれぞれが何ができるかを考えなければいけない。ただ流されるままに生きているだけでは駄目だ。

 

 終始不思議な世界観で展開する物語。特に終盤の畳みかけるようなファンタジー感あふれる映像はすごかった。この映像感覚はとても80歳近い監督が撮ったものとは思えないなと思ったが、そこで描かれている内容は年齢を重ねた者だけが描けるような巨匠感のあるものだった。長い上映時間も気にならず、見入ってしまうような映画となっている。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/編集

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脚本 桂千穂

 

原作

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出演 窪塚俊介/矢作穂香/常盤貴子/満島真之介/長塚圭史/山崎紘菜/柄本時生/門脇麦/村田雄浩/武田鉄矢/南原清隆/根岸季衣/池畑慎之介/片岡鶴太郎/白石加代子/髙嶋政宏/品川徹

 

花筐 HANAGATAMI

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