★★★★☆
あらすじ
駅の時計台で暮らす孤児の男の子。
感想
叔父の仕事である駅構内の時計のメンテをしながら、亡き父が残した壊れた機械人形の修復をしている少年。酒飲みの叔父は行方不明のため、少年は駅構内で食べ物を盗んだりして独力で生きている。しかし、仕事はしているのにお金がないのは気の毒だ。叔父が賃金を自分のものにしているという事なのだろう。
少年が人形の修復のために必要な部品を駅構内のおもちゃ屋で盗もうとして、失敗したところから物語は動き出す。大切な父親との思い出のノートを奪われ、返してもらおうとしているところで一人の少女に出会い、二人の冒険じみた行動が始まる。修復していた機械人形も遂に動き出す。
きっと主人公と同年代くらいまでの子どもであれば、感情移入も出来るだろうし、ワクワクもするだろうしできっと楽しめると思うのだが、正直、大人には少々退屈な展開だ。少年少女の心を忘れた大人には、といった方がいいのかもしれないが。
そんな風に子供向けの映画だなと思っていたら、後半は少し趣が変わってくる。前半はあまりそんな感じはしなかったのに、映画への愛が語られ始める。おもちゃ屋の主人の半生が明らかにされ、ようやく大人も感情移入できるような展開になっていく。映画を仕事にしてきた人が映画への愛を語ってグッと来ないわけがない。
最終的には、確かに子供向けだが、子どもと一緒に観た大人も満足できる映画といった印象になった。少しのんびりとしたテンポではあるが、細かい伏線がたくさん仕掛けられており、丁寧に積み上げられた物語。そして、どこかファンタジックな映像で独特の世界観が築かれており、完成度の高さが感じられる。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演 マーティン・スコセッシ
製作 グレアム・キング/ティム・ヘディントン
出演 ベン・キングズレー/エイサ・バターフィールド/クロエ・グレース・モレッツ/サシャ・バロン・コーエン/レイ・ウィンストン/エミリー・モーティマー/ヘレン・マックロリー/クリストファー・リー/マイケル・スタールバーグ/ガリヴァー・マグラス /エド・サンダース/フランシス・デ・ラ・トゥーア/リチャード・グリフィス